2007年8月1日水曜日

朝粥




京都、南禅寺にある「瓢亭」は、高級料亭で有名だが、朝粥も名物。
宴席を設けたら大変が費用になってしまうが、朝かゆだと、優美この上ない料理が手ごろな価格で楽しめるというので(とは言っても1人5500円)、行って見た。

9時前に着いたら、前の道路も料理になっている。
薄曇りの中に、梅雨の緑が映えている。
その緑にあわせたような縁取りの小旗がかかっている。
「会席料理・朝かゆ」
たたきにはつややかな打ち水。
蝉の声が通りの奥深くまで染みとおっている。

「加藤さんどすか? えろうお待たせしました」
しっとりとした庭園の周りに茶室仕立ての客席。
部屋には座布団だけ。
最初に梅昆布湯が来たが、畳に直接置く。
祇園で明け方まで遊んだ旦那衆が「腹減った、美味しい朝飯食べたい」といって寝ていた主人を起こし、かゆを食べさせたところからここの朝かゆが出て来たと聞いた。
畳の上に直に料理。なるほど、わかるような気がする。
最初の料理は、野菜と半熟のゆで卵の2つ割りに鱧寿司が付いた皿、瓢箪型三段仕立てのセットがこれまた瓢箪イメージのお盆に乗ってきた。もちろんそのまま畳に。
三段瓢箪を開けてみると、京茄子、麩、酢の物、白身魚の蒸しほぐし、木の芽和えなど。
落ち着いたおいしさに感動していると、次が、
豆腐と海苔のお椀。
海苔の香りが濃厚だ。
温かいお椀でほっとしたところに、鮎。
頭から食べる。軟らかい。炭火の遠赤外線だな。
ゆったりとしかし着々と来る料理を、蝉の声の中で味わってきたところに、仕上げのお粥。
つやつやと真っ白く光ったお粥がたっぷり。
京漬物と一緒に、お茶わん2杯分、さらさらっと入ってしまった。
ああ、いい時間だった。

瓢亭は、ホームページの画像を見るだけでも味わえます。
幸せな朝食後は、隣にある明治の元老山形有朋の別荘「無鄰庵」の庭園でのんびりしたら、料理の余韻まで味わえます。

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