2007年4月28日土曜日

イベリコ豚の骨付きステーキ


イベリコ豚はスペインのドングリを食べさせた豚肉。
豚肉の最高峰と言われている。
その中の「上から二番目」というのを買って来た。
骨付きのロース1枚と、ロース正肉を2枚。両方ともかなりの厚切り。
フライパンでじっくり蒸し焼き。
こういう肉にソースはいらない。
刺し身に使う高品質の醤油をちょっと付けて食べる。
うーーーん、これわあー……
野生、荒々しい、たくましい、豪快、といったおいしさ。
特に脂肪が素晴らしい。
脂肪だけ噛りたいけど、そうなると赤身が……
脂肪と赤身を適度に組み合わせカットして、いとおしく食べる。
骨付きステーキの脂肪がずいぶんカットされてしまっているなあ。
もったいない。
今度対面売り場で、脂肪たっぷり付けてと注文カットしてもらおう。
売り場は、六本木の東京ミッドタウン内1階スーパー。

2007年4月26日木曜日

ちびキンキと魚資源


朝食に、これまた小さなキンキが、ちび鯵の開きと一緒に出てきた。
漁でかかってきてしまったんだろう。
釣りだったらすぐに放して大きくなるのを待つところだ。

魚資源の保護をどうするか、世界的な問題になっている。
漁港併設の卸売市場などでは、こういったサイズが小さい、外道などがたくさん出てくる。
長崎県の松浦漁港では、小型で売り物にならない鯖が大漁に冷凍されている。
これは以前は養殖の餌に持って行けたが、最近養殖の餌は配合飼料になってきているそうで、売り先も無いという。冷蔵庫の費用かさむばかり。そこに中国に食糧として奥地の市場に販売する活動が行なわれ始めていると聞いている。
こういった魚、捕れたばかりのは鮮度も良いし、おいしい。
以前、淡路島に毎月行っていた時、小さな居酒屋に行くと、地元で揚がった魚が色々あった。行く都度、イカだのタコだの鯛だの太刀魚だの、いつも違う。
聞いてみると、浜から揚がった魚を適当に持って来るという。
夏、淡路島では、京都向けの鱧で忙しい。かなりの量を出荷している。
しかし、小型の鱧も結構出てくる。
それが地元の居酒屋で、実に安く出されている。余りだからだ。
これが、実においしい。
ある時3人分食べてしまった。3匹分だ。
やはり淡路島でイタリアンレストランに行った。淡路島とイタリアンなど全く信じられない組み合わせだ。「おいしい」というので行ったら、「イワシのスパゲティ」があったので、なんだこれはと思いつつ頼んだら、素晴らしい。イワシがおいしい。どうしてこのイワシこんなにおいしいのかと聞いたら「下の浜から今朝持ってきた」のだそうだ。
こんなサイズ外、小魚を、適当に混ぜて、一箱10キロ程度に氷詰めにして、全国の居酒屋に送ったらどうだろうか?
会員制にして、レシピもつけて、毎日鮮度最高の魚色々が店に着く。
「今日の魚」として、毎日違う魚のつまみが楽しめる。
魚資源を大切に扱う活動。
農水省、水産庁、居酒屋個店、居酒屋チェーン、いや、レストランでもどこでも送れる。産地はたくさんある。関係者まとめた大プロジェクト。
毎日違う産地から着くようにすることも出来る。月曜山形、火曜は青森、水曜島根、木曜広島、金曜三重、なんてことが出来る。
パッケージ、システム、価格設定、調査マーケティング、キャンペーン、楽しそうな仕事だらけ。
こんなプロジェクト、どなたかやりませんか?
アイデア色々温めてます。

ちびキンキ、ちびなのに、キンキだ。おいしかった。

2007年4月25日水曜日

お茶の楽しみ方



東京駅で打ち合わせをする時、以前は東京ステーションホテル二階のコーヒーショップを使った。由緒ある建物で、落ち着けた。しかし昨年から数年間、大正時代のままに戻す大改修が始まり、しばらくダメ。
東京駅辺りで打ち合わせ、ということになり、どこか無いか探していたら、時々行く中華とワインのレストランが、食事時間以外はティータイムで空いていると言う。それならそこで。
レンレンレン(人人人)03-5252-7361 
中国茶が色々あり、名前は忘れたが聞いたことないのを頼んだら、ポットと、蓋をした茶わんを持ってきた。
「お湯を入れて蓋をして、出たら蓋で茶葉を押さえながら飲んでください」
なるほど、茶わんの中には茶葉が入っている。
お湯を注ぎ、しばらく待ち、出た頃蓋をとってみたら、茶葉が一杯に広がっている。
蓋でカバーしながらすすり飲むと、お茶だけでなく、葉っぱの香りまで楽しめる。飲みにくいが、とことんおいしく飲もうというやり方だ。なるほど。

打ち合わせの皆さんが米沢から来た。
私と違う「ジャスミン茶」を頼んだ。
今度はシャンパングラスに、鞠(まり)茶を入れて持ってきた。
鞠茶は、茶葉を紐で丸く束ねている。
湯に入れると、少しずつ広がる。
まるで花が開くようだ。
きれいに開いたら、飲める。

茶わんで蓋を押さえながらズズズーと、中国風。
シャンパングラスでおしゃれに。
お茶の楽しみ方色々。

2007年4月24日火曜日

バックリブ



ポークスペアリブはあばら骨をはがして、骨の間の肉の味を楽しむ。
骨から外された肉はバラ肉で、ベーコンになる。
ベーコンにはあばら骨を外した部分が溝になっているが、これは骨を一本一本ていねいに外した跡だ。
であるから、スペアリブを取った跡のバラ肉はこの段々の溝が無い。三枚肉では無く二枚肉になる。
スペアリブは、人で言うと、胸から横腹にかけてのあばら骨のところだ。
では横腹から背中にかけてはどうなっているかと言うと、ここの部分がロースとリブロース肉だ。
ではロース、リブロースに付いている骨、つまりスペアリブよりも背中側の骨はどうなるかと言うと、日本ではきれいに外す。
だから、リブロース、ロース肉は、正肉だけだ。
さて、米国では、スペアリブは定番だが、背中側の骨も間に肉をつけたまま外してしまう。スペアリブの背中側版だ。
これを「バックリブ」と言っている。
ロース肉を珍重する日本で、こんな乱暴にロース側の骨をとってしまったら、ロース正肉の歩留まりが悪くなるので、やらない。
しかし、ロース側の骨の間にある肉は、スペアリブと同じで味があって美味しい。
欧米の肉の専門家に「どの部位が好き?」と聞くと、多くの人が「あばら骨とあばら骨の間の肉」と答える。
つまり、スペアリブと、バックリブだ。
スペアリブはこの20年ぐらいの間に日本でポピュラーになったが、バックリブは日本では見たことない。米国ではいくらでもあるけど。

六本木の「東京ミッドタウン」が出来て、落ち着いた頃だから行ってみた。
楽しいショッピングセンターになっていた。
3階のデジタルおもちゃなど、女性だけでなく男性も楽しめる店も結構ある。
そして「ロティ アメリカン ワインバー & ブラッセリー」にバックリブがあった。
米国料理だから、豚肉の代表としてこのバックリブがあるんだろう。
バックリブは、米国から輸入したら半分骨を輸入するみたいなものだから、やらないのだろう。それなら日本でとなったら、ロース正肉が小さくなってしまうからやらない。
しかし、おいしい。
それがここにあった。

一個400円の生ガキ。ワシントン産。
ワインはカリフォルニアのナパ・バレー産。
来たバックリブは、5本ほどの大きさで、肉がたっぷりついている。
これは食べごたえがある。
黒ゴマ白ゴマが半々程度かかっている。
早速一本分を外して、ばさりと肉を削り取り、ガブリと。
この部分は歯ごたえがあるのだが、なかなか軟らかく料理されている。
こってりしたバックリブ、久しぶりだった。

2007年4月23日月曜日

築地の寿司盛り



築地市場の衛生管理と移転問題で、魚河岸で打ち合わせをしていたら「今日は女性事務員が帰ってしまったので、水かジュースかどちらが良いか」と聞かれた。時間は午後4時。
私はこの時間になったら、アフター5のビールをおいしく飲む為、水分はいっさいとりません、と言ったら、何やらわずかに琥珀色の透明な液体を三分目位まで入れたグラスを持ってきた。
「これ、美味しい酒なんですよ」
私は日本酒の前にビールを飲みたかったので、しばらくそのままにしていたら「まず一口飲んでください」という。私が飲まないので、ほかの人が飲めないからだという。ああそれはすみませんでしたと一口飲んだら、これが辛口で、まるでシャルドネのようだ。これはおいしい。
一舐めが一口になり、話ながらグビッとなり、2杯目になってしまった。
3杯目も無くなってしまった。おいしいのでもう一杯と思ったら、まだたくさん入っている一升瓶が下げられてしまった。もう一杯飲みたいなーと言ったら、そうでは無く、これから積極的に場所を変えようと、近くの寿司屋に移動。
早速目に付いたのが「活きアナゴの薄造り」
皮付きの鯛と一緒に河豚の薄造りのように盛りつけされて出て来たら、このアナゴ、一緒の鯛よりもおいしい。さすが江戸だね。
ビール、焼酎とどんどん行って、握りを適当にと言って出て来たら、この美しさ。
コハダと鯵が二列にキラキラと銀色に輝いて並んでいる。
鮮やかで透明なマグロの赤身と河童巻きが交互におかれ、真っ白な舎利が半分透き通っている。
きれいだなー、芸術だなー!!
こんな盛りつけ考えられない、初めてだ、さすが築地の寿司屋、盛りつけが江戸っ子。

2007年4月20日金曜日

ホタルイカのパスタ


今年のホタルイカはおいしいので評判だ、価格も良いようだが。
時々行く三田の「ちょっとローマ」に行ったらこれが出て来た。
以前にも食べたことがあり、またもう一度食べたいなーと恋い焦がれていたところだ。
ちょっと芯が残っている程度のアルデンテに茹でたスパゲティに、紫色のホタルイカが絡まっている。
ホタルイカの身はぷくっと膨らんでいる。
加熱中に、わずかに膨らんだところで火を止めると、中のおいしさの水分が閉じこめられているばかりか、一番軟らかい状態だ。
濃いグリーンの葉が彩りを添えている。
輪切りにされたトウガラシがわずかに散らばっている。
パスタの下はたっぷりとジュースのようなソースが溜まっている。
このソースを、パスタが抱え込んでいる。
ホタルイカのゲソと頭の部分は本体から外されているのか外れたのか、別々になっている。
硬い目玉は外されている。小さなホタルイカの目を一つ一つ大事に下処理しているわけだ、丁寧なシェフの仕事だなー。
さて、まずはパスタにたっぷりソースをからませて……

2007年4月18日水曜日

山ニンジンの葉




「今日は3時間山歩きをしたよ」
米沢でいつも行く料理屋「志乃」の女将は、春になると山菜を採りに毎日のように山に入る。
雪がまだ残る山で、今日は山ニンジンの葉を採ってきた。
この山菜は、それ程採る人もいないので、比較的簡単だそうだ。
ビニール袋にたっぷり入った山ニンジンの葉は、春らしい薄緑色、茎は苦味が見えそうな紫がかった白だ。
料理になって出て来たのは、まずは胡桃和え。
ほろ苦く、山の風味たっぷりの葉に、胡桃が甘味を添えている。
次は天ぷら。
米沢では咲くまでまだ2週間以上かかる料理用の桜が飾られている。
パリパリと揚がっていて、春菊の超高級版といったところ。
これからの東北は、ミズ、シドケ、土筆など、山菜がどんどん出てくる。夏まで毎月楽しみだ。

2007年4月17日火曜日

シェフの旅


スペインのある有名なレストランは半年しか営業しない。その半年は予約で早くからいっぱいになる。
休みの半年は何かというと、シェフは旅行に出る。世界のおいしいレストランや食材探索。
半年後スペインに帰ってくると、料理、食材のお土産や情報がたっぷりあり、それを楽しみに常連顧客は予約をする。

松江でいつも行く「いと賀」でこの話になった。
鹿児島で焼酎のお湯割を頼んだら、お湯割をしたものを徳利に入れてくれ、おちょこで飲む話をしたら「それは良さそうだ、ウチでもやってみよう」というので、すぐにやってもらった。なかなか良い。
旅行すると、面白い体験や、情報が入ってくる。しかし料理店をやっていると、なかなか旅行に出れるもんじゃない。
ということなのだが、そうではないんじゃないか?
スペインのレストランの半年休みを少し真似て、例えば、毎月3日間、大将はグルメ旅行に出る。その間、若いスタッフだけで店をやる。これは顧客に発表する。そしてこの間は安くする、例えば半額。
若いスタッフは張り切るだろう。
メニューの設計から調理、サービスまで、大将不在の店で張り切ってやれる。
大変だけど、勉強になるだろうな。やる気もたっぷりになる。
顧客は半額で楽しめる。批評も出来る。面白そうだ。
そして、旅から帰った大将は、グルメのお土産たっぷりで、店に活かす。

なんて話をして、大将をけしかけていると、周りの調理スタッフは横目でちらちらと話を聞いている。耳がダンボになっているようだ。興味津々「やってくれないかなーーー」
いかがでしょうか?

こんな話をしながらぐずぐず飲んでいたら、河豚の切り身と白子の盛り合わせが出て来た。切り身は分厚く、たっぷりと味わえる。これに白子もついているんだからたまらない。良い店だなー。大将、旅に出て、もっと色々なの出して。

2007年4月16日月曜日

11ヶ月目の鮒鮨


この京都の店に昨年9月に行った時、5ヶ月ものの鮒鮨が出た。
今回も鮒鮨が出て来た。
「11ヶ月目です」という。
もしかして……
「そうなんです、昨年いらした時にお出しした鮒鮨です。もう11ヶ月目になりました」
すごいことだな。

ここ数年、鮒鮨やなれ鮨、北海道のい寿司など、発酵させる寿司がうまく出来ないという話をあちこちで聞く。
原因は温暖化。
伝統的な料理が、気候の変化で変わって行く。

11ヶ月目の鮒鮨は、とろけた。

2007年4月13日金曜日

カレイの骨と鯉のウロコ



鯉の刺し身が出て来た。
凄烈な水からの鯉で、さわやかさっぱり。
鯉の皮も添えられている。上品な河豚の皮といったところ。
上には鯉のアラから取った煮こごりが乗っかっている。
昔、冬場に、煮魚を食べ残すと、翌朝になると煮こごりが出来ていて、それを温かいごはんの上に乗せて食べた。あの頃は寒かったんだな。
鯉の煮こごりはふうわりと舌の上でとろけた。

この後カレイが焼かれて出て来た。
しかし骨が付いていなかった。
カレイの縁側の骨、おいしいのに、どこに行ってしまったんだろうか?

揚物が出たあと、驚愕の料理が出て来た。
さっき気になっていたカレイの骨が、頭ごと、骨せんべいになって出て来た。丁寧に焼いてある。
その上に、何やら小さなかけらがたくさん乗せられている。
なんだ?
「鯉のウロコです」
カレイの骨と、鯉のウロコを、全部きれいに料理している。
「参りました!!」

2007年4月12日木曜日

イワナと骨


春のイワナが炭火で焼かれて出て来た。
しかしちょっと違う。
骨が抜かれて、身の横においてあるのだ。
きれいな骨が、パリッと焼かれて、身に立て掛けてある。
尻尾もカットされて、別に置いてある。
これは、イワナ本体から、中骨を抜いて、骨だけ別に焼いたのだ。そうすると骨せんべいになる。
尻尾は、本体と一緒に焼くと焼き過ぎてしまうので、外して適度に焼いたのだ。
つまり、1匹のイワナを、本体、中骨、尻尾の3つにわけて、それぞれ一番おいしい状態で焼いてくれたのだ。
なんと手間をかけて料理をしてくれるのだろうか。
その横にはカラスミまで添えられている。

2007年4月11日水曜日

マグロの足?




アイスバインそっくりの肉の塊だ。
アイスバインは、豚の骨付き脚で、丸ごと食べる豪華料理。
でも、ちょっと違うようだ。
「なんだ、それ?」
「マグロ。千円だったの」
「なんだ? マグロの足か?」
マグロに足は無かった。
「マグロの顎(あご)」

丸ごとグリドルで焼いた。
焼けたら箸で肉を削ぎ外して食べた。
これは凄い。
このあいだ築地行ったらマグロの頭を解体していたが、そのあごのところだ。
一部に軟らかめの軟骨かスジといったのがある。
コリコリして最高。
すっかりしゃぶって骨だけになってしまった。
マグロの解体新書。

2007年4月8日日曜日

選挙、散歩、花見





ゆっくり朝寝して、たっぷり朝飯食べて、腹ごなしに「選挙、散歩、花見」といって家を出た。
近くの小学校で投票をしてから、裏の玉川上水にいつものコースで出た。
セーターを着て出たのだが、しばらく早足で歩いていたら、汗がジワッと。
上水の桜はまだ残っていて、尾長が花の間を飛び交っている。
ウグイスがホーホケキョ。どこにいるのか、見つけようと探すが、葉っぱと同じウグイス色をしているので分からない。音だけが流れの中で響く。

久我山の近くでUターンし、新しくなった法政の横を通り、井の頭公園の西園の外れの400メートルトラックに出た。ここは花見の穴場で、ゆったりとしていて、人も少ない。

そのまま玉川上水を横切って、井の頭公園に入ったら、ボートでびっしり。
ヒョウタン橋の横は、散った桜の花びらで見事にピンク色。
この時期、鴨は隅の方に避難している。
宴会は今日も真っ盛り。
宴会のグループの沖縄の蛇皮線演奏が池に流れていた。
吉祥寺での買い物も含めて、4時間の散歩。
帰ったら、家の前にある誰もいない小さな公園も、桜色だった。

静寂と混雑の対比で面白かった。

2007年4月6日金曜日

巨大ブロッコリー



吉祥寺のいつもの居酒屋に行ったら、特大のブロッコリーがあった。
元力士のマスターに持ってもらって写真を撮った。
マスターの体は大きいのだが、このブロッコリー、マスターの腹の大きさだ。
こんなでかいのがあるんだ。
少しでいいからと「サッと硬めのボイル」を頼んだ。
こんな巨大でも、ばらせば繊細なブロッコリーだ。
つやつやとグリーンに光っている。
活き活きしたおいしさだ。

2007年4月5日木曜日

嵐の翌朝、桜のじゅうたん



全国的に大嵐の日。鳥取で竜巻、東京で雷、大雨、そしてなんと雪だった。
東京の茗荷谷でセミナー一日目が終わり、会場の外に出たら大雨。傘さしてもずぶぬれ。
井の頭公園は桜が散り始めだが、この嵐では宴会はやっていない。
そして、桜は散り、池に落ち、翌朝は、と考えていた。

嵐の翌朝、井の頭公園を通って吉祥寺駅に向かう。
雨上がりのきれいな青空。
桜の花が散り、池にたっぷりと落ち、神田川になって行く出口の方に集まっている。
前日は宴会がなかったので、ゴミは浮いていない。
まだ早いので、カメラを持った撮影者がちらほらと散歩の人たちだけ。
咲き残っている桜は五分。
ヒョウタン橋の前は桜のじゅうたん。

2007年4月3日火曜日

鹿児島のお湯割




知覧でにじみ出た水分を補おうと、上田さんと鹿児島市内の繁盛店へ。
「吾愛人(わかな)」http://www.k-wakana.com/
まずは鹿児島名物キビナゴと小さなアワビの刺し身。
キビナゴは蛍光灯の光でピカピカつややかに光っている。
アワビに「ひょっとして」とレモンを搾り落とすと、やっぱり、ウニョウニョと悶えた。
生ビールたちまちジョッキ3杯。
やっと水分落ち着いたので次はもちろん鹿児島名物焼酎のお湯割。
ここでお湯割を頼むと、既にお湯割にした焼酎が徳利で出てくる。
徳利からぐい飲みのような大きな御猪口にとくとくと注ぎ、ぐいっと。
これは良い方法だ。
冷めないし、でかいお湯のポッともいらないし、手酌でいいし。

2007年4月1日日曜日

知覧の桜




九州新幹線で鹿児島中央駅に着いたら、ずいぶん立派な駅だ。
前からあったのかと聞いたら「西鹿児島駅」を新幹線の駅にしたそうだ。
それなら良く覚えている。
学生時代の長い春休み、冬の北海道を旅行した
。雪の札幌を出て、本州に渡り、急行「八甲田」でのんびり帰って来て、上野駅に朝9時前に着いた。
しかし、アルバイトで稼いだ金と、暇もたっぷりある。まだ帰りたくない。
東京駅に行って時刻表を見たら、もうすぐ急行「西鹿児島」が出る。
自然に乗り、西へ向かった。
雪の札幌で着ていたフード付きの厚いコートは、すぐにいらなくなり、翌朝西鹿児島駅に着いたら暑かった。

40年ぶりの元西鹿児島には、都城に居る上田さんが迎えに来てくれていて、そのまま知覧へ。
知覧は、終戦の年の4月から約3ヶ月間の間、沖縄に集結した米艦隊に特攻し戦死した1035人の隊員の遺品、手紙、遺書、絶筆が、平和祈念として展示してある。
このところ、幕末から終戦後までの、事実を元にした吉村昭の歴史小説を立て続けに読んでいるので、現場に来たわけだ。
日本人として一度見ておかなければならない。

逝った隊員の手紙、短い遺書や絶筆、どれを見ても胸が痛くなる。
文章は、切々と訴える。
写真は、死の直前にどうしてこんなに朗らかに笑っているのだろうと、不思議だ。
静かで厳粛な展示室のあちこちでグシュグシュと鼻をすする音が響く。

隊員の締めていた寄せ書き入りの鉢巻きがある。何でこれがと思って解説を読んだら、突っ込まれた戦艦の米兵が、飛び散った特攻機と隊員の破片の中にこの鉢巻きを見つけ、保管し、戦後遺族に戻されたのだという。
遺書には勇ましいものが多い。どうして? と、不思議だった。
しかし、隊員の中には、地元の女学生などに、隊に出すのとは別の手紙を自宅に送ってくれるように託していた人もいた。託された人は自分の名前ですぐに隊員の親に郵送したという。検閲されていたのだ。
出撃したものの、何回も「故障」で戻ってきた隊員もいた。整備兵は、絶対に故障ではない、と考えながらも、大きな声では言わなかったのだろう。しかし、この隊員も最終的に逝った。
優秀な多くの若人を失った。皆二十歳前後、一番年少で17歳。
彼らが生きていたら、日本で、世界で、どれだけ素晴らしい仕事をしただろうか。

平和会館の外は、桜が満開だった。
知覧の桜は、知覧以外の桜とは違う桜だ。
人の命がにじみ出た桜だ。
宇宙の貴重な生命と意識を大切にしようと、桜は言っていた。
ここは、自分の生き方と、平和を考える人は、行かなければならない場所だ。