2007年8月31日金曜日

オーストラリアレポート19:ルーインエステート




マーガレットリバーには世界的に有名なワイナリー「ルーインエステート」がある。
ここでは毎夏2つの大きなイベントがある。
一つはレストラン前の広大な庭を使ってのコンサート。
ワイナリーの中で響き渡る音楽はどんなものだろうか。
写真を見ると、2〜3千人ほど集まっているようだ。
もうひとつはワインのボトリングが終わり、その年のワインを評価探索する世界中のバイヤーが集まる時期。
マーガレットリバー地域には数十のワイナリーがあり、それらをバイイングする為に集まってくるのだ。
着いたら丁度昼だったので、軽くランチ。
日本で買ったらずいぶんするだろうテーブル板がたっぷりと使われている。
テーブルナイフが面白い、立てた状態でセット出来るデザインだ。
地下にはたっぷりと樽に入ったワインが寝かされていた。

2007年8月30日木曜日

オーストラリアレポート18:硬さダブルのステーキ&お焦げ御飯




ブッチャーショップで買ったサーロインステーキを焼く。
このサーロインは、実にオーストラリアタイプで、グラスフェッド、なおかつ熟成ちょっと少なめの低価格グレード。
焼き上げて、テーブルナイフを入れたら「ガリガリガリ」と、実に硬そうな音が響き渡った。
これは硬そうだなと、腰を入れて口に入れたら、うーーーん、やっぱり硬い、素晴らしい、オーストラリアビーフ丸出しの風味、おいしさだ。こういうの大好きだ。
しかし日本でこのまま売ったらクレームの嵐になるだろうな。
御飯を鍋で炊き、底にお焦げが出来たので、ステーキの横に乗せて、ステーキ&お焦げ御飯。硬いのダブルだ。

2007年8月29日水曜日

オーストラリアレポート17:マッシュルームの水炊き




骨付き手羽先を買って来て、巨大マッシュルームをたっぷり、葱や白菜もごっそりと入れて、鶏の水炊き。
ファーマーズマーケットで買って来た豆腐を冷や奴にしたら、大豆の風味丸出しの素朴タイプで、ほっとする昔風。生姜醤油で食べる。
もう1個の豆腐を鍋に放り込んだ。
煮込んでいる最中、ちょっと味見とスープをすすったら、マッシュルームフレーバー超濃密のスープになっていた。

日本で売っているマッシュルームは、色白く、大きさ揃っていて、きれいな形をしているが、高い。こっちのは、大きさ不ぞろい、見た目よいとは言えないが、おいしく、安い。どっちがいいか。
「無選別」と言う考え方が必要なのではないか?

以前、米国の食の専門家が来日し、銀座のデパートの食品売り場を見て、その高価さと見た目の美しさに対して言った、
「宝石と食べ物を間違えているんじゃないか?」

土の力のある、たくましい作物を、日本で増やして欲しいね。
焼くだけでいい、煮るだけでいい、蒸すだけで感動する作物を。
素材が素朴でおいしいものに出会ったあと、ふと思うことがある、
「では、一般に出回っているのは何なんだ?」

2007年8月28日火曜日

オーストラリアレポート16:巨大マッシュルーム




マーガレットリバーの町近辺に泊まろうと思ったが、週末がかかっていたので混んでいて、マーガレットリバーの入り口北50キロぐらいにある、ドンズボローのコンドミニアムにし、ここにしばらく居ることにした。
途中のブッシェルトンでファーマーズマーケットがあったので寄ってみたら、新鮮、頑丈、たくましく、美味しそうな野菜がたっぷりと販売されている。
これは面白いと色々買いまくっていたら、巨大なマッシュルームがあった。
一番大きいのは手の平大。これはあまりにも大きすぎるので、そのもう少し小さいのを選んだ。

ドンズボローの予約してある部屋(家)に入ったら、あまりにも大きすぎる。
ダブルベッドのある部屋が2つ、シングルベッド2つがある部屋が2つ、中二階にビリヤード、広大な居間、テラスにはバーベキューコーナーと巨大なテーブルセットが2組。4百平米以上あるかもしれない。
これでは落ち着かないので、小さな部屋(とはいっても2百平米ぐらい)に換えてもらい、落ち着いた。
日本の小さな家になれていると、こういうところはダメなんだな。
しかし、小さいと歩く距離が少なくて良いこともあるな。

2007年8月26日日曜日

オーストラリアレポート15:小さな小さなワイナリー




マンジェラの南50キロあたりにワイナリーが地図に乗っているので行って見た。
ワイナリーのサインを見付け、左折した途端、オフロード。
突き当たりに、小さな小さなワイナリーのセールスハウスがあった。
駐車したら、犬が尻尾をふりふり跳んできた、久しぶりの客だ。
愛想の良いおかみさんが出て来て、犬の名前は「ジャスパー」

ハウスに入ってどんなワインを売っているのかと思ったら「クラシック」タイプ。
クラシックの語源は知らないが、このタイプは「美味しい水」といったもの。料理を楽しむ為に、美味しい水のようなさっぱりしたワインをこう呼ぶようだ。白が1本13ドル。早速購入、今晩の最初のワインにしよう。
この後色々なワインを見てみたが、やっぱりクラシックタイプはさっぱりした味で、価格は10ドルかちょっと上ぐらい。

2007年8月24日金曜日

オーストラリアレポート14:マンジェラの巨大リゾート開発




パースの空港に着き、レンタカーで南へ。
パースにもフリーマントルにも寄らず、一気にマンジェラへ。
マンジェラは、5年ほど前、マーガレットリバーからパースに帰る途中、大規模なリゾート開発をやっているのを見付けた。
その後どうなったのか、2泊することにした。
カーナビが無いので迷い込んだら、海岸縁に建設途中のコンドミニアム、住宅がいくらでもある。
レストランに行ったり、カフェに入ると、開発業者がミーティングをしている、購入見込み客と営業マンが交渉している、小さな会議室ではプロジェクターを使って討議中、と、大変な活気だ。
翌日50キロほど南にあるワイナリーに行く途中、このリゾート開発地域は、どんどん南に延びている。
オーストラリアはそんなに景気が良いのだろうか。あるいは人生を楽しむパターンが、以前のキャンピングカーから、住宅になってきているのだろうか。
大きさは200から400平米ぐらいで、5000から8000万円ぐらいのが多いようだ。
マンション風のコンドミニアムは、売れるまでの間かもしれないが、1泊100〜200ドルぐらいで泊まることが出来る。
ホテルと違って部屋の清掃やベッドメイクは無く、自分でやる。一般的に3泊目までは定価だが、4泊目からは半額になるところが多いようだ。これは米国のシアトルで泊まった時も同じだった。日本でこういうの聞いたことないな。

2007年8月23日木曜日

オーストラリアレポート13:500万年前の塩





メルボルンを発ち、パースへ。
飛行時間は4時間だが、時差が2時間あるので、2時間得した。
パースへあと1時間弱のところで、右下に広大な白い湖のようなものを発見。これは「WAソルト」の所有する塩の採取地「デボラ湖」だ。

18キロ×8キロの面積があり、塩の大平原になっている。米国のソルトレイクの様なもの。しかし違うのは、ここの塩は、ここから500キロ以上西のインド洋からの潮風によってできている点だ。
オーストラリアの西海岸から東に潮風が大陸を進んで行くと、ずっと平らなのだが、500万年より以前、ここは湖になっていた。そしてすぐその東側には小高い山があった。
インド洋からの強い風で、海水が潮風となってはるか500キロ奥まで吹いて行き、そこにあった山に当たり、手前のデボラ湖に落ちていた。
インド洋の潮風の塩がこの湖に溜まって行ったのだ。
その後、干ばつ化して行き、強烈な日光で乾燥を始め、表面の水分が蒸発し、塩の層になった。
500万年前、500キロを飛翔した潮風の塩だ。
今でもこの風は吹き続けているので、ここの塩は無くなることは無い。
素直でおいしいナチュラルな塩だ。
ミネラル分はもちろん塩水と同じ。
日本で時々ミネラルが異常に入っている塩を見ることがあるが、あれはミネラルを添加したもので、ナチュラルとは言えない。
メキシコから輸入した一般的な塩にミネラルを添加した塩もあると聞いている。
詳しい解説はここ

パースの西500キロのデボラ湖の塩は、削り取られ「WAソルト」の製品になって、一部は日本にも入ってきている。
良質で無添加のハム、ソーセージを作っている「グルメくにひろ」もこの塩を使っている。
この塩湖に3回ほど行ったことがある。日本への開発輸入を手がけていたのと、地の果てが好きな性格の為だ。一度は車、一度はセスナ、一度は我が家族に見せてあげたくステーションワゴンで。
車で行くと、メイン道路から入ったところで、白地に黒の丸と斜線の道路標識が出て来る。これは「制限無し」と言う意味。
理解の仕方を変えると「自分のリスクで勝手に走って良い」
何キロで走っても良いが、自分で責任を持て、ということになる。
しかし、高速で走ると、カンガルーがボーッとしているのに出会うので、危険。

冬の雨期、ここは雨水が3センチほど溜まる。
真っ平らなので、広大な鏡になる。
無風の満月の夜、湖の中央に立つ。
水面に月と星が映っている。
上も、下も、月と星。
人は宇宙の中心に浮遊する1個の意識になる。
そして、月に向かって吠え出す、
「わおー! わおーー!! わおーーー!!!」
あぶないあぶない……

2007年8月22日水曜日

オーストラリアレポート12:ゲームミート




ゲームミートというのは、フランスでは冬の間、鴨、雉、ウズラ、イノシシ、鹿などの野生動物や鳥を狩猟して食べる肉だ。
プラーンマーケットでもこのゲームミートを色々売っている。
オーストラリアはまずカンガルーで、ヒレが1キロで18ドル50セント(オーストラリアドルは約百円なので、1850円)
それから、野生では無い「ファームド(飼育)」のベニソン(鹿)は、ランプが35ドル、角切りが30ドル、ヒレが55ドル。
ニュージーランドでは鹿牧場があちこちにあるが、オーストラリアにもあるのだろうか。ニュージーランドの鹿の角(つの)はそのままあるいは加工して香港や韓国に輸出されている。
もうひとつあったのはやはりファームドのウサギで、20ドル。
これらは鶏肉専門店で販売されていた。

2007年8月21日火曜日

オーストラリアレポート11:プラーンマーケットで築地の移転を考えた




メルボルンのスワンストンストリートを南下し、ファッショナブルな川岸のヤラ川を渡り、セントギルダロードを10分ほど行くと、サウスヤラ地区に入る。
ここはメルボルンのお金持ちの皆さんの住宅地域。
ハリーポッターが出てきそうな家があちこちにある。
その中にあるプラーンマーケットは、1800年代の施設を、古さを残しながら新しいマーケットにかなりの費用をかけて改修したという。
ここも肉と魚介、加工食品、青果の3つのエリアに別れている。
肉と魚介エリアは自動ドアで完全密閉型。
タイルを使い、衛生管理を考慮した構造に見事に改修されている。
クイーンヴィクトリアマーケットと比べて、かなり高級だ。

東京では築地市場の移転がもめているが、古い歴史のある市場を、その歴史、文化を活かしたまま、新しい時代にあったシステム、市場なら衛生管理を導入してリフォームするようには出来ないものだろうか。クイーンヴィクトリアマーケットやこのプラーンマーケットのように。

2007年8月20日月曜日

オーストラリアレポート10:田舎町の野菜が美味しい




グレートオーシャンロードからの帰りが遅くなってしまい、ちょっと食べ物と、シーズンオフのウイークディでほとんど人の居ないリゾートタウンのデリストアに入った。
すぐに走り抜けてしまう町にぽつんとネオンが。
中はガラクタだらけだろうと思ったらそうでも無く、デリは結構揃っている。これを1人のおばさんがやっている。
野菜は美味しいだろうとサラダを買ったら当たり。
チーズドレッシングとわずかの塩で味付けしてあるだけ。
素材が素晴らしいと、やたら手を加えない方が良いね。

2007年8月17日金曜日

オーストラリアレポート9:オーストラリア大陸が沈み込む現場




オーストラリア大陸は地球全体の地殻変動で南極側に少しずつ沈み込んで行っているという。その動きでメルボルンの西側の海岸一帯で奇岩奇景を見ることが出来る。
メルボルン市内からM1号線を西へ向かい、グレートオーシャンロードに入る。
穏やかなエンジェル海岸を左に見ながら3時間ほど走って行くと別荘街になる。
どこの家も海に向かってこれ以上使えないというぐらいのガラスを使った作りだ。メルボルンのお金持ちの皆さんの別荘なのだろう。
ここを越え「ここから国立公園」のサインを過ぎた途端、全く自然のままの海と陸。
大陸が海に落ち込んでいるところは一気に切り立った絶壁になっている。
取り残された陸が、崖になったり、斧のように突き出た岩になったり、アーチ状になっているのもあるし、そのアーチが崩れて落ち込んでしまったのもある。
荒々しい波が次々と押し寄せている。
南極からの風が吹きつけている。
低い樹木が風に震えている。
溜まった雨水の上に、小さなミズスマシがすいすい。
時々観光客とすれ違うだけで、この広い地域にほとんど誰もいない。
オーストラリア大陸の果てに立っている。
突き当たり大好き。

2007年8月16日木曜日

オーストラリアレポート8:最高の中華レストランとその食材




メルボルンのチャイナタウンにある中華レストラン「フラワードラム」を博多の西村先生に教えてもらって行った。
ここは、The Age(メルボルンの代表的新聞)が毎年出す小冊子「メルボルングッドフードガイド」で、毎年ベストチャイニーズレストランに選ばれているところだそうだ。
中華街のメインストリートから横に入った、ちょっと目立たないところにある。
1階は受付だけで、メニューも何も出ていない。教えてもらわなければ絶対にわからない。
予約しないで入ったら、にこやかに「ラストテーブルです」
満席なのだ、運が良かった。
2階に上がったら、大きな店で、メルボルンの紳士淑女がさんざめいている。品の良いお客さんばかりだ。
マネージャーがきて「今日のお勧めは……」と始まった。
牡蠣のナンダラカンダラというのが最初に来た。
蒸してあり、香港流にいえばXO醤で牡蠣の風味を活かした程度に味付けしてある。
デミソン(餃子)は、たっぷりと肉汁が詰まっている。美味しい豚肉ジュースの塊だ。
エビと野菜の炒め物は、サッと強火で炒めてあり、エビぷりぷり、野菜シャキシャキ。
牡蠣はタスマニア産、エビも、野菜もオーストラリア産。
豚肉はオーストラリアでは牛肉よりも高い。牛は牧草の中に放っておけば大きくなるが、豚は資料をやらなければならないので、高くなる。そしてもっと高いのがチキンだ。日本と逆になる。
オーストラリアで1番安い肉は羊だ。1年未満がラム、1〜2年の間が日本では知られていないがホゲット、2年以上がマトン。これらは段々安くなる。歳とるごとにに安くなるというわけだ。しかしホゲットというのは、ラムの軟らかさと風味が少し残っていて、価格は安く、地元では人気だ。
日本の中華街はエキサイティングで面白いが、最近の中華食材の汚染問題を考えると不安だ。しかしオーストラリアの中華は素材が国産なので、安心。
メルボルンに行ったら、絶対に行かなければならない店だ。

2007年8月14日火曜日

オーストラリアレポート7:乗車券の自己管理


メルボルン市内は「トラム」という路面電車が、東京レベルまで行かないが、大阪レベルの密度でシティ(ダウンタウン)と郊外を結んでいる。
乗車するには、2時間券、1日券、1週間券などをあらかじめ商店やコンビニで買って乗るのだが、トラムに乗ったら小さな刻印器で自分で刻印をする。
その時間から2時間とか1日使える。ということは、刻印したふりして何もしなければ、2時間券で(発覚しなければ)いつまでも使えることになる。
高校生や地元の人を見ると、乗って何もせず、そして何もしないで降りて行く。多分定期券を持っているのだろうが、何も持っていなくても持っている振りしていればわからない。
時々検札はするのだろうが、基本的に顧客の自己管理、性善説で成り立っているようだ。

一般的に、日本は性善説、アングロサクソン系、あるいはアラブ系は性悪説、ということになっているが、公共の乗り物に関してはそうでも無い。
コペンハーゲンの空港から市内まで列車で往復したことがあるが、空港でチケットを買ったらそのまま改札など無しに列車に乗れる。コペンハーゲン駅についても改札無し。帰りも全く同じ。途中検札も無かった。これもチケット持っていなくてもズルすれば乗れてしまう。

ドイツのアッシャヘンブルグという田舎町から4人で列車に乗ろうとチケットを買ったら、4人分が1枚のチケットになっている。
ドイツはエコロジーに徹しているから、チケットの紙も節約するのだろう。
改札も無しに列車に乗り込み、6人はゆったりのボックスに座ってしばらくしたら女性の検察官がきた。
どうして我々のところにすぐに検札にきたのか不思議だったが、乗る時にこの女性がホームの左右を見ていたのを思い出した。

メルボルン空港に着いてレンタカー事務所で「シティリンクという有料の高速道路が市内を回っているが、その乗り放題チケット4日分はここで買える」というので、とりあえず買ったが、カードも何も無い。
「登録したので、何も無くていい」というので、何だかわからないままシティリンクを通ったが、ゲートも何も無い。買っても買わなくても同じなのだ。
スピード違反か何かでパトカーに捕まって、登録していないで走っていたら罰金でも取られるのかどうか知らないが、これも顧客の自主管理だ。
まあ、人工が少ないからこれでいいのかもしれないが、それにしても、こういう考え方の人がほとんどだと(ズルする人が少なければ)、コストはかなり安くなる。

日本はこのところずるい人がじゃんじゃん出て来ている。
その度にコストが上がる。
牛肉ミンチをごまかせば、高額のDNA鑑定が必要になる。
学校給食で、国産牛肉と輸入牛肉をごまかせば、その為の監査を多くのまじめな業者はやらなければならなくなる。
産地を偽装する業者が出て来れば、産地証明をする為のコストがかかるようになる。
ずるいヤツ、悪いヤツ、せこいヤツが出て来るたびにコストが上がる。何とかなりませんかねー。

オーストラリアレポート6:加工食品エリア




クイーンヴィクトリアマーケットの加工食品エリアは、古くからの施設を改修して使っている。
壁面と床との間の幅木はRに切ってあり、汚れが溜まらず、清掃しやすいようになっている。
各店舗の売り場と顧客の間はきちんと仕切られ、店内の衛生管理も守られている。
整理整頓といった基本的なことは、指導されたり、ルールが決められて守っているというよりも、ごく自然に当たり前になされているようだ。
「この分野はウチだ!」といっているように、各店舗の商品分野は確立されている。チーズ、加工肉、ベーカリー、ワイン、ドライフルーツ、ケーキ、ピクルス……、あらゆる食品の専門店街だ。
隣はに青果エリアがある。
世界の主要都市にある市場は、衛生管理上から閉鎖型になっているが、ここは、肉と魚介類が完全閉鎖型、加工食品は日本のデパートの専門店街型、そして青果は屋根だけの形になっている。

2007年8月13日月曜日

オーストラリアレポート5:魚介類の食材




オーストラリアは日本向けの畜養マグロを始めた国だ。
畜養というのは、小さなマグロを捕って、餌を与えて大きくする方法だ。卵からの完全な養殖とは全く違う。
畜養マグロは、体全体が中トロのようになるものが多い。
しかし、オーストラリア国内で一般に出回っているのは魚介類のほとんどはナチュラルなものだ。
海はきれいなので、天然魚介類の安全性は最高。
そんな魚介類が、マーケットに並べられている。
マグロを見ると、赤身で、ちょっと透き通っていて軟らかそう。
サーモンで高級なのは、タスマニア海あたりで捕れる「タスマンサーモン」
この辺りは海流が強いので、身の引き締まったおいしいサーモンが捕れるという。
オーストラリアの鯛もかなり日本に輸出されている。
エビ(プラウン)もかなりの種類捕れる。キング、エンデバー、ブラックタイガー、ピンクタイガーと、市場には多種類のエビが並んでいる。
これらのエビを、シンプルに食べるには、湯をぐらぐら沸かし、瞬間塩ゆでにする。そして、あちあちいいながら、皮をむき、生姜醤油をちょっと付けてパクリ。シャルドネを一口飲み、また一匹と、次々やって行くのだ。

2007年8月10日金曜日

オーストラリアレポート4:グラスフェッドビーフのマーケット



20年近く前、オーガニックのグラスフェッドビーフを日本に入れられないかやってみたことがあるが、うまくいかなかった。
理由は「サーロインの大きさが小さい」「色が浅い」「形が揃っていない」「硬い」「草臭い」といったところで、バイヤー段階でストップしてしまった。
BSEなど無かったので、安全性といった利点は検討されなかったのだが、消費者への試食提案までも持って行けなかった。
その頃私はオーストラリアとニュージーランドにしょっちゅう行っていて、グラスフェッドビーフのおいしさに十分に堪能していた為、日本側のこの反応にはがっかりした。
形が揃っていないというのは、日本の今も全く同じだ。肉、野菜、魚、全て工業製品では無いのだから、形は揃わない。それを流通の槍やすやさ、販売の規格統一といったところから、無理に揃えようとすると、ロス、選別で、価格は高くなる。
硬い、草臭いといったのは、熟成していないからだ。熟成させれば、軟らかく、おいしくなる。とはいっても、和牛のような軟らかさにはもちろん絶対ならないが、脂がないため、さっぱりした、適度な軟らかさにはなる。
そして、今、オーストラリア、ニュージーランドのグラスフェッドビーフには、BSEフリー、オーガニック対応、ナチュラル、自然、安全、といったキーワードがたくさん付いてくる。
型は揃わず、色も浅いが、熟成させれば、ナチュラルで安全でヘルシーな牛肉、という、実に今の消費者ニーズにあったものを持っている。

2007年8月9日木曜日

オーストラリアレポート3:グラスフェッドビーフの生産




グラスフェッドビーフの生産は、広大な牧場で行われる。
ヴィクトリア州は今年は干ばつだと聞いていたが、メルボルンの西、グレートオーシャンロードの途中の牧場はそんなようには全く見えず、豊富な水が牧草を潤していた。
牧草飼育牛は、1200〜2000坪に一頭程度の広さだという。千頭ならこの千倍の草地が必要になる。
水は雨と地下水。もちろん川や沼地、湿地を使っているところもある。見える範囲の山全部という広大な牧場はいくらでもある。
オーガニックに必然的になるわけだが、例えば山の上にゴルフ場など、農薬や薬剤を使っているところの下の牧場の牛はオーガニックにはならない。まあしかし、オーストラリアの牧場地帯を延々と旅していると、そんなところはまず無い。都市部は別だが。

オーストラリアレポート2:食品にうるさい入国審査

BSEで、牛肉の安全性が問題になってだいぶ経つが、オーストラリアとニュージーランドは、日本向けの一部の穀物飼育以外は全て暴走飼育なので、なんの心配も要らない。
牛肉だけでなく、全ての食材の安全性を守る為、オーストラリアでは海外からの入国者の検査を実に珍重にやる。
「全ての食品」を持っている人は、入国カードにチェックをしなければならない。たとえ問題の無い加工品であっても、検査される。
以前カップラーメンを持ち込んだ時、パッケージの印刷に卵があったので、取られたことがあった。たとえ加熱されていても、卵、肉類はダメなのだ。
入国カードに無しとしてあっても、かなりの人が荷物を開けて検査される。検査待ちの列が長く連なっている。
もし「無し」にチェックされているのもかかわらず、食品を持っていると、たしか110ドルの罰金を取られる。
泥の付いた運動靴が無いかのチェックもある。ゴルフシューズのようなものだ。泥には微生物や種がついているからだ。
ゴルフのドライバーに泥が付いているのを慎重にチェックされた人もいた。

2007年8月7日火曜日

オーストラリアレポート1:クイーンヴィクトリアマーケット




蒸し暑い日本からオーストラリアのメルボルンに着いたら気温10℃、爽やかな冬だった。
セーターを着込み、マフラーをして、空港内のレンタカー事務所で手続きを済ませ、車のヒーターを入れてフリーウエイをシティへ。ここではダウンタウンと呼ばず、シティといっている。
この国のレンタカーはカーナビなんてないので、地図を頼りに適当に町の中心に向かったら、うまいことに、どの都市でも行くマーケットのところにでた。
クイーンヴィクトリアマーケットは、古いマーケットだが、食肉、鮮魚のエリアに行ったら、きれいに管理され、顧客がたくさん。
食肉エリアには30ほどの小売店が入っているが、通路の天井に枝肉をぶら下げて運ぶレールが廻らされている。
各食肉店は、枝肉で仕入れ、一頭の肉をうまく小分けし、それぞれ独自のカッティングをして、技術を競っている。
その為、スープの素になる骨が、各店舗にたっぷり置かれている。
オーストラリアの牛の飼育はナチュラルで、広大な牧草地の中で育てられている。牛舎は無い。自然のままだ。牧草だけで大きくなっている。だからBSEは無縁。
日本向けの牛肉だけは特別に穀物飼育(グレンフェッドビーフ)をしているが、自国で消費する牛は全てグラスフェッド(パーチャスフェッドとも呼ぶ)だ。
グラスフェッドビーフは、屠畜直後を食べるとゴムのように硬いが、2〜3週間ほど熟成させると、軟らかくなり、低脂肪で美味しい牛肉になる。
ヴィクトリアマーケットの食肉店は、熟成させた枝肉を仕入れ、あるいは店舗で熟成させてから、商品化しているようだ。赤身のさっぱりしたステーキ、買って帰りたいところだが、ホテルで焼けないのであきらめた。