2008年4月30日水曜日

天茶で仕上げ




氷の冷蔵庫から出して来た食材で天ぷらが始まった。
どれもこれもからりと揚がっている。
ネタも春。かわいい小鮎が丸ごと出て来た。指でつまんでパク。
隣の同行者の皿の上に、小タマネギが二つにカットされた天ぷらがある。横を向いた隙に失敬したら、ポコロと栗のような食感。
しばらくしたら「あれ、タマネギ半分無くなってる!」
食いしん坊が集まると騒がしい。

ここのかき揚げは素晴らしい。
刻んでいない、丸ごとの食材が、まるまるとまとめられて揚がっている。
以前来たとき、仕上げにこのかき揚げ食べたいし、天茶も食べたいし、しかし腹が許さなかったので「かき揚げひとつ揚げて、半分つまみで食べて、残り半分を半分ご飯の天茶にしてくれませんか?」と言ったら「それは素晴らしい方法ですね」と、かえって喜んでやってくれた。
高品質で親切なサービス精神だ。
今回も、天茶で仕上げ。

2008年4月28日月曜日

氷の冷蔵庫




子供の頃、我が家は小さな家の一画で焼き鳥とラーメンの店をやっていて、「ボクの亀」を飼っている洗面器の横には、氷の冷蔵庫があった。
木製の小さな箱で、上の扉から氷屋さんから買った角氷を入れ、下の扉から食材を入れて冷やす構造だ。

電気冷蔵庫が普及して、このクラシックな氷の冷蔵庫は完全に姿を消した、と思っていたが、お茶の水「山の上ホテル」の和食、天ぷらの店で活躍していた。

お茶の水駅から坂を下っていき、明治大学の手前の路地を右に入った坂上にあるこのホテルは、池波正太郎始め、多くの作家が愛した小さなホテル。
ここのレストランは皆おいしく、中でも天ぷらは有名。
カウンターの前にずらりと並ぶ木製の扉が氷の冷蔵庫。
扉を開けて見せてもらったら、角氷と食材が一緒に入っている。
「数十年ものの冷蔵庫で、大変な貴重品です、しかし氷代が大変」

氷の冷蔵庫の良い点は、食材が乾かないこと。
ラップかけないで、ステンレスのバットに入れてそのまま置いてある。
食材の保管に優しい。
何しろ氷という自然の冷気で冷やすのだから。

ここのメニューは、天ぷらだけでなく、小料理いろいろたくさんで、それぞれが絶品。
穴子の白焼きが出て来た。醤油にわさびだけでなく、天然塩も付いている。
焼き蛤は、殻がころっと膨らんだ本家本元。
ビールの後、カリフォルニアのシャルドネを頼んだが、これも良いものだった。

この店は、いつも混んでいるので、早めの予約が必要。
先日、出張の帰りに、カウンターで一人ぐらい何とかなるだろうと寄ったら、完全満席だったので「隣のバーで呑んで待ってます」
このバーもまた有名で、6〜7名しか座れない。
ビール一杯の後グラスワインを飲み出したら「空きました」
それでは「ばくらい」からいこうか。

2008年4月24日木曜日

「きろく」と「くろき」


漢数字の「七」を3つに漢数字の「六」で「きろく」という焼酎が出て来た。
これは高品質の焼酎メーカーで有名な宮崎県は黒木本店の製品。
焼酎の名前が何か耳の隅に引っかかる。
「志乃」の女将が「この名前、黒木を反対から読んでんだよー」
なるほど、くろき の きろく だ。
しゃれたネーミング。
素直なのに濃い香りの焼酎だ。
これ見つけたら、呑んでみてください、おすすめです。

2008年4月23日水曜日

ホタテの山芋ぐちゃぐちゃ



白い塊の上に、針海苔が山のように乗っている。
なんだこれは?
「北海道産天然ホタテと山芋です、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べてください」

箸で納豆のように混ぜたら、白く光沢のある刻んだホタテの身に、擦った山芋が絡まった粘体になった。
針海苔が気品良く見える。
天然高品質のホタテの身は、シャキシャキしているが、これもそうだ。
優美な料理なのに、乱暴にガツガツとどんぶりかき込み、贅沢に食べてしまった。

2008年4月22日火曜日

ハタハタ初物



今年のハタハタの初物はだいぶ早いそうだ。
一夜干しをパリッとかじると、繊細な小さな白身。
秋田の若王子様。

アイナメがふろふき大根の上に乗って出て来た。
身はたくましく、密度が濃い。
大根も小さめのみっちり詰まった田舎頑強タイプ。
味も身もみっしり。

2008年4月18日金曜日

サワラの葺き味噌



春の魚のひとつ、サワラが焼かれて出て来た。
ホタルイカがつけ合わせてある。
魚とイカの春セット。

サワラの切り身に何か挟まれている。
「葺き味噌です」
なるほど、こうすると淡白な肉によく合う。
東北ではこうすることが多いそうだ。

2008年4月17日木曜日

鯛の10時間


鯛と赤貝の刺身が出て来た。
赤貝は鮮度第一で、活きた状態が一番いい。これはコリッと最高。
鯛の刺身を箸でつまんだら、弾力はあまり無く、しなっとしている。
これはもしかしてと、口に入れたら、やっぱり。
しっとりと、甘みがたっぷりにじみ出ていて、感激の熟成状態。
大将に「これ、絞めて何時間?」

鯛やヒラメ等、こういった白身の魚は、絞めた直後はこりこりはしているが、甘みは無く、数時間の熟成をしないとおいしさが出ていない。
ヒラメは5時間、漁師は「鯛は最低6時間」等と言っている。

今日のこの鯛は「10時間」
今朝絞めたのが、優美に熟成され、夕方出て来たわけだ。

2008年4月16日水曜日

米沢の山菜






井の頭公園の桜は終わり、静かになった。
福島から峠を越えて米沢に入ったら、桜は未だだが、道端に残っている捨て雪の上をかすめて、春風がそよいでいる。
いつもの「志乃」の女将が山に入って採って来てくれる山菜の季節到来。

「山人参」はごま和えで、繊細な葉がしっとり。
「春タケノコ」は、山形牛肉と炊き込んである。
米沢の皆さんは肉というと当たり前のように牛肉で、秋はキノコと煮込む。
東日本はほとんど豚肉中心なのに、米沢は裕福だ。
上杉鷹山の文化がいまだに継承されているようだ。
「たらの芽」はかなり大きく、軟らかい天ぷらになっている。
「あいこ」という山菜は初めてで、ぬめりがありながらしゃっきり。
「一夜こごみ」だが、普通のこごみは茎部分が紫色なに、これは全部淡い緑で、いかにも春先の山菜の色。
「山ウド」はたくましい太さで、大根等と薄味に煮込んである。

来月は米沢の山菜最盛期、楽しみだなー。

2008年4月15日火曜日

温采





時々外食の研究会で行っている清晃事務所の王先生の店「莫莫居鶯」に、仕事仲間とぶらっと入った。突然なので王先生は不在。

いつもは会食なので、メニューコースが決まっているので、この店でメニューを見て注文するのは初めて。
じっくりと見ると、食べたいのがいっぱい。
その中で「温采」カテゴリーがあり、炙り焼きいろいろ。

食材に何も手を加えず、そのまま熱を加える調理は、何も料理をしていない、出来ない、ということでいやがる人も居る。あるいは、素材が大したこと無いから、濃い味付けしたり、他の食材と混ぜてごまかしているような料理にも出会うこともある。
でも、良い食材なら、そのまま焼いて食べると、特に野菜等、素朴なおいしさがあり、作ってくれた大地に感謝、となる。

タケノコの炙り焼きは、丸ごと焼いてから、中の可食部分だけ取り出して盛りつけてある。シャキシャキと春の音が口内で響く。
蓮根の炙り焼きは、焼いた後厚めにカット。パリッとはじける。
キャベツの炙り焼きは、キャベツの強火トースト。外側ちょっと焦げ目がつき、中はキャベツの水分が蒸れている。

2008年4月14日月曜日

中華街の牛スジ刀削麺




横浜の中華街へは、渋谷から地下鉄で40分ほど。家から一時間ちょっとで別世界に入る。
農薬入り餃子の問題等関係ない大混雑。
しかしレストランのあちこちに「日本国産野菜を使っているから安全」という張り紙が。そして中国語訛りの日本語で呼び込み合戦。
焼き栗はあちこちで試食販売だが、ちょっと不安。
妖しい建物の近くの路地を入り、さらにまた狭くなった勝手口行きみたいな通路の中にある刀削麺の店に入る。

刀削麺は練った麺のドウを塊のまま肩に乗せたり片手で支え、半月状のナイフでそぎ切り飛ばして、グラグラ煮え立つ鍋に次々入れる
具はいろいろあり、今回は牛スジ。
厚さ2センチはあるたくましい牛スジの大きめぶつ切りが4個も入っている。
四川風の味付けで、深み熟成感のある辛さ。
だいぶ煮込んであるのだろう、コラーゲンたっぷりの軟らかさ。
一緒に来た餃子は肉汁たっぷり閉じ込め、ニンニクとニラがしっかり効いている。

2008年4月11日金曜日

08ウィーン-24:プラハ城




地下鉄の駅からプラハ城への坂を上がっていく、結構きつい、運動不足だな。
城の一画で、コンサートが毎日1時からあるという看板。
時間は15分前、ちょうどいい。

ピアノ、バイオリン、フルートの構成。
50名程のミニホールに聴衆は20名ほど、美しい天井画と古風な壁に囲まれる。
窓ガラスは波うちで、急に晴れたやわらかな陽が、優雅に歪んで入ってくる。
曲は、モーツアルト、バッハ、ベートーベンなどの小曲で、最終はもちろんチェコなので、スメタナ。
かなりのオールドピアノを、熟齢ピアニストが雅に弾く。
城の小さなコンサート、1時間ほど。数百年のタイムスリップ。

ここまで来たら、聖ヴィート大聖堂に行かなければ。
さらに坂を上がっていく。
巨大な、山のような聖堂が突然覆いかぶさって来た。
重量で圧倒される。
中に入ったら、美しいステンドグラスのシリーズでため息。

入ったときには晴れていたのに、聖堂から外に出たら強風の吹雪。
プラハも天気の変化が激しいのかな?
あわてて城内のカフェに飛び込む。
暖かいカフェのガラス窓から見下ろす古都プラハはすばらしい。
「中世の宝石」

外側のテラスにもテーブルがあるが、この雪の中、誰もいない、当たり前だ。
と思ったら、米国人らしきカップルが入って来て、外のテラスに座った。
外は雪なのに、こいつらどういう感覚しているんだろう?
ウエイターが、膝掛け毛布を渡し、テラス用のヒーターをつけた。
そんなことするんなら、暖かい中にすればいいのに。
まあ、景色はいいだろうけど……
熱いコーヒーでも頼むのかなと横目で見ていたら、ビールを注文!!
何ということをするんだろうか!

飲み、食べ、晴れたり降ったり雪だったり、音楽たくさん、古都ウロウロの今回の旅はこれでおしまい。
ああ、おもしろかった!!

2008年4月10日木曜日

08ウィーン-23:ホットワインのジャンル



「チェコ風山賊パーティーレストラン」で、とんでもない肉料理が出て来たあと、大半を残し、口直しか精神安定か、落ち着いたものが欲しくて、ロシア風ポテトのスープを頼んだ。
順番が逆だけど、ここでは何でもあり。
大きなブリォーシュ(パン)の中をくりぬいて、こってりした、スープというよりもポテトシチューが入っている。ホワイトシチューといったところ。量も少ない。ああ、安心した、腹もこれで平定。

仕上げにホットワインを頼もうとメニューを見たら、ワインのジャンルにはなく、コーヒーやホットチョコレートなどの「ホット・ドリンクス」の中に入っている。しかしどういうわけかアイスコーヒーも入っている。
なるほど、ホットワインはアルコールではなく温かい飲み物に入るわけか。
ここのホットワインにはレモンが浮かべてあった。
映画「007シリーズ」で、スイスアルプスのスキーリゾートの場面に、小さなランプで温めているキャラフに入った赤ワインがあった。ああいう飲み方もあるのだ。
今回はホットワインのことがずいぶんわかった。

やっと食べ終わり、隣のイタリア人テーブルに「サンキュー、バイバイ」と言ったら二人にこやかに「チャオ」
チェコ風、山賊パーティーレストラン。
プラハに行ったら、注文に気をつけましょう。

旧市街にはイタリアンレストランが結構あり、なぜかわからなかったが、これで判明。この辺りにはお金持ちが住んでいるので、ヘルシーおしゃれなレストランが必要なのだ。

2008年4月9日水曜日

春の西伊豆とアワビの踊り焼き






下田から海岸沿いをぐるっと時計回りに西伊豆に入る。
桜と菜の花と海の世界だ。
車を停めて休んでいると、ホーーーホケキョ!
サービスいい鶯だ。
井の頭にも春になると鶯がたくさん鳴いているが、なぜ春しか鳴かないのだろうか? 春期発動かな?

昨年末に土肥温泉に行った帰り、左に富士を見ながら沼津に向かって行く途中、ポツンとあるのを見つけた「伊豆の隠れ家 つわぶき亭」到着。どんな所か調査宿泊。

駿河湾が一望に見える展望露天風呂は、遥か下に潮騒がゴーゴーと鳴り、海風がヒュウと吹き付ける絶景。雄大な風呂だ。
ロビーで生ビールを飲みながら、真正面に沈んで行く感動的な夕日を、ぼーっと見ていた。
太陽が黄色から赤になり、濃くなって柿のような色に。
次第に縦につぶれて楕円に。
ススキの葉のような雲が夕日に模様をつけていく。
さらにつぶれて、下が欠け、駿河湾にぽこっと落ちた。

温泉旅館の食事というと、種類は多いが寄せ集めでひとつひとつの味はだめ、といった所が多く「温泉にうまいモノ無し」なんて言うが、ここはそんなことはなく、おいしい。
活きアワビがにょろにょろとうごめいてコンロの上に乗っている。
これに火をつけて生きたまま焼く「踊り焼き」
なんと惨いことをするのだろうか。
欧米なら動物虐待。
なにしろ活きたロブスターをそのままボイルしたらとんでもないことになる。
苦しみながら焼かれるアワビを楽しむなんていうのはヘタしたら牢屋行き。

しかしここは日本、焼き出したらすごい勢いでもだえ出した。ぐるぐる回っている。ああすみません、ごめんなさい。
グリーンピースがこれ見たらどういう行動に出るんだろうか?

ミディアムレアーに本体を焼き、ナイフでカットして食べると、柔らかく、ふっくら。
殻に残っている肝をもう少し焼き、ミディアム程度にしたら、風味がたっぷり出てこれまたすばらしい。本体とは全く違う味わいだ。

2008年4月8日火曜日

サザエのつぼ焼きと鯛茶漬け




サザエのつぼ焼きは、小さめのが二つ、丸焼きしただけ。
目抜きが添えてあり、これで自分で引きずり出す。
安い居酒屋等で、切り刻んだ身がスープと一緒に殻の中に入ったのが出てくることがあるが、あれは低レベルのツブ貝もどきを使った偽装が多い。
この店のは本物。当たり前だ、漁師が来るんだから。

このサザエ、外見は小型なのだが、身をほじくり出すと、ずいぶん大きい。
よくもこんな大きいのが入っているもんだ。
元気で頑丈な伊豆サザエを二つ独り占め。

仕上げに伊勢エビ天丼というのがあり、一匹丸ごとの頭が入った味噌汁、漬け物、デザートまでついたのが2千数百円。食べたかったが腹が許さない。ああ残念残念。
そこで少なそうな茶漬けを見たら、鯛茶漬けが1200円ちょっと。
普通茶漬けというと大きめ茶碗に具がちょっと入ったのが600円、といったような所だが、この店のこの価格は何かありそうだ。
不可思議な価格は、出て来てわかった。
皮付きで大降り厚切りにカットした鯛の切り身がご飯の上に山のように乗っている。
乱暴にカットした海苔がバサーッとかぶせてある。
「鯛の刺身大盛り丸ごとご飯乗っけ出汁スープぶっかけどんぶり乱暴刻み海苔かぶせ」出来上がり。

2008年4月7日月曜日

伊豆の春




雨があがったようだ。
予報を見たら、週末はいい天気。全国的に暖かくなるという。
ふと、伊豆の海を見たいなーとなり、東京から厚木小田原道路を経、西湘バイパスから伊東と、東伊豆海岸沿いに、爽やかな初夏の海風に吹かれて、走る。
途中は桜が満開。
伊豆の桜と海を3時間楽しんだ。贅沢だなー。

下田東急ホテル着。
雄大な入り江が眼下にある。絶景贅沢な露天風呂で汗を流す。
部屋でひと仕事したあと、今晩の一人大宴会の舞台を探さなければ。
フロントに行き「地魚を食べさせてくれる居酒屋か料理屋で、安く無くてもいいですが、高すぎるのもだめ」というわがまま放題の要求。
親切なフロントマネージャーは、にこやかに「それならここ」
新田」に予約まで入れてくれた。

この店は漁師の皆さんが来るそうだ。漁師はおいしい魚がわかっている。
「お一人で旅行ですか?」と、大将。
「そう、伊豆の海を見たくなり、出てきました」
「いいですねー、人生一回だけですからねー」
オオーー、いいこと言う大将だ。

今日の魚の刺身ということで、金目鯛、サワラ、沖メゴチといった鮮度のいいのが3切れずつ。突き出しに出て来たバイガイと言うのか、磯の貝は大きく、殻が頑丈で、掘り出した身はしっかりしている。

焼酎のお湯割りを頼んだら、生ビールのジョッキに入って来た。
さすが漁師の店、あたたかき乱暴さでうれしい。
飲み切るまで冷めてしまうので、温度管理のため小皿でもないかと言ったら、アルミ箔を持って来てくれた。良い方法だ。

2008年4月6日日曜日

井の頭公園桜速報-4 最終日




天気最高の日曜日。
桜は半分散り、花見は今日がピークで最終日だろう。
いつもの散歩コースから池に入って行ったら、橋はいっぱいで、わたるのにずいぶん時間がかかりそう。
野外コンサートホール前は宴会の海。
トイレは長い行列、間に合わない人いないのだろうか?
駅に向かう丸井横の道も大渋滞。
ガード下の公衆トイレに入ったら公園からここまで来た人が「公園のトイレじゃ30分かかるよ」
花見でたっぷり飲んだ大量の水分は、井の頭の下水に変換されて入り、明日はどこへ行くのだろうか。
明日から静かな井の頭公園に戻るだろう。

2008年4月5日土曜日

空飛ぶペンギンの撮影に世界で初めて成功

数十頭のペンギンの一部が、ぴょんぴょんと跳ね出した。
次第に自分の身長より高く跳ねられるのも出て来た。
集団で跳ねながら、マラソンのスタートのように走り出した。
少しずつ浮き出し、ヒナが初めて飛ぶようなぎこちない飛翔が始まった。群れで。
真っ白な南極の大地に立っている一人の男が、ペンギンの集団飛翔を感動して見ている。
氷山と海の上を、数百羽のペンギンがフラミンゴのように飛ぶ。
きれいだ。ペンギンは空を飛ぶんだ。
ペンギンが空を飛ぶのを撮った初めてのフィルムが、イギリスBBCテレビで流れたのだ。
4月1日、エイプリルフールの話。
雄大ネイチャーなエイプリルフールだ。
見たい方は、http://www.youtube.com/watch?v=Px-XS0UHtms

2008年4月3日木曜日

08ウィーン-22:プラハの山賊パーティー




旧市街に流行っていそうな店を見つけて入った。
禁煙といったら地下全部が禁煙になっている、ああよかった。
メニューは珍しくし写真が付いている。
さっき肉屋で見た豚スネ肉丸ごとのバーベキューだかローストだかがある。かなり大きそうだ。
「これはおおきいの?」と聞いたら「ノット ソー ビッグ」
それほど大きく無いというが、本当かな?
まあいいや、こんなのここでした食べられないから注文。

大きくないなんて嘘だ!
巨大が固まりが、私の前に、どたっと置かれた。
これを一人で食べろ、っていうのか?
とりあえず、一切れ食べてみたら、荒々しい獣臭さ。
豚が荒々しいんだが、管理が悪いんだか、数口食べたが、とてもではないがだめ。
そんなところに、同行者が注文した、刻みソーセージ入りお好み焼き巨大版4枚入りの皿が来た。皿というよりも、お盆だ。
「プラハの料理は量が多いから気をつけろ」といわれていたが、こういうことだったのか。
一枚やっと食べられる状態。

隣のテーブルに居た米国人の二人連れのところに、これまたでかい皿が来た。スペアリブだ。
普通一人分は数本分の骨がついたのが一枚だが、それが3枚重なっているではないか。スペアリブの積み木。
しかし、見ていたら、この米国人たち、全部食べてしまった。いったいどういう腹してるんだろうか?

私と同行者が四苦八苦しているところに、反対側の隣に座った男二人連れのテーブルの端に、何やらをつり下げるような装置がかちゃりと付けられた、何だろうか?
「なんだこれは?」と言っているようだ。
話に聞き耳立てたら、イタリア人。
ウエイターが大きな皿をイタリア人テーブルに持って来たが、テーブルに置かないで、大きなはさみのようなもので肉のかたまりを挟んで、さっき取り付けたテーブル端の引っかけ機にぶすりと乗せた。
大量のローストした肉が、だらりとぶら下がった。
豚肉と鶏肉の固まりがたくさん、並べて吊るし首になっている。
思わずイタリア人に「写真撮らせてー!!」
イタリア人もびっくりし、日本製大型一眼レフカメラを持ったところで「シー シー!!(イエス イエス)」
日本人とイタリア人が、チェコ風乱暴バーベキュー吊るし食いの写真を脅威の眼で撮った。

プラハ山賊パーティー
これがノルウエーだったら、魚だらけで、バイキング海賊パーティー となるところか。

2008年4月2日水曜日

08ウィーン-21:プラハのミートショップ




ホテルからプラハの旧市街まで地下鉄で一回乗り換えの駅6つで着いた。
地下鉄に乗っている皆さん、ウィーンとは全く違って、暗い。
社会主義のあとというのはこういうものなのかな?
直接ではないが、あちこちからじろじろ見られているのがわかる。
プラハで数回地下鉄に乗ったが、アジア系は全く見かけなかった。
日本人は珍しいのかな?
切符の検察員があちこちに居て、頻繁にチェックしている。
暗い感じの検察だ。
昔はあちこちに盗聴器があったという話や、「プラハの春」などから、監視、KGB、旧ソ連、といったイメージが出てくる。

地下鉄を降り、階段を上がったらいきなり旧市街のど真ん中に出た。
「プラハにはいま行け」とはこのことなのか!

映画の中にいきなり入った。
巨大、重厚な石の街が平面に、空に広がっている。
歴史の固まりだ。
文化の遺産だ。
車道、歩道、建物、数百年の時間を経た石造り。
車道を車のタイヤがぼこぼこ音をたてて走る。
ミシェランのタイヤは普通のタイヤの3倍持つ、3倍硬い、といわれるが、こういう道路なら必要だな。
道路は斜めに入り組み、曲がり、交差点に出るたびに新たな石の街が出現する。

こういった古都は米国系ファーストフードやチェーン店が一画に入り込んでしまって台無しになっているところが多い、特に大きな街ほどそうだ、保存できないのだ。京都など最たるもので、実にもったいない。
しかし、プラハの旧市街は、そんなのは全く無いようだ。
邪魔しているのは、車と交通標識ぐらい。
車を入れないで歩行者天国にし、交通標識を無くしたらどんなもんだろうか。
あるいは、車はしょうがないとして、交通標識を、古都に合わせた特別デザインにここだけ変える、とか。
プラハの古都は、ただ歩いているだけでわくわくする。

ミートショップがあるので覗いた。
一般的なヨーロッパの肉屋タイプだが、店内の隅で食べられるようになっている。
どでかい骨付きの豚のスネをかじっている人が居る。
「あれ食べてみたいなー……」

そして、これがとんでもないことになった……