2007年6月28日木曜日

メフレの中落ち丼




北上駅から車で20分ほどのところに、山間部の魚卸売センター「メフレ」がある。ここは10年ほど前、この辺りの3ヶ所の市場を統合合併させて作った株式会社。
設立当初、日本初のHACCPを考慮した卸売市場ということで、取材や視察が殺到していた。
久しぶりに訪ね、ここの高橋社長にお目にかかったが、最近も見学依頼が多く、仕事にならないので、断っているそうだ。
地方の卸売センターで、商売は大きくないが、密閉高床式、床への直置き禁止、5.10.15℃と3段階にわけた低温管理、入荷から出庫までの一方方向の動線など、衛生管理を徹底し、独自の営業も加え、経営は良い。

中を視察したあと、センターに併設した食堂へ。
この食堂はこの辺りの名物で、早朝は市場関係者、昼になると美味しい昼食たっぷり食べたい一般の顧客で賑わう。
今日はあるかなー? 中落ち丼。
これは、隣の市場から出てきたマグロの中落ちをたっぷり乗せているので大人気。
なんと380円!!
山盛り御飯の上に、大漁のマグロをさらに山盛りにしてある。まるで小山だ。
これに、付いてきたワサビの小皿にたっぷり醤油を注ぎ、ワサビを溶かし混ぜ、マグロの上にざざっと回しかける。
箸をぶすりと挿し込み、大口開けてかっ込む。
マグロが口の中いっぱいに。
このマグロ、中落ちというよりも、細長い切り身だ。
御飯の上にマグロを乗せて食べるんじゃなくて、マグロで御飯を巻いて食べる状態。
ホテルで朝、食べなくて良かった。
一緒に来たいわてコープの鈴木さんは、朝食食べてきたのに、またこの中落ちドンブルぺろっと平らげていた。

2007年6月27日水曜日

大船渡のマグロ




3日前、米沢に着いた夕方、ふとニュースを見たら、大船渡でクロマグロが大漁に揚がったという。確か百本程度のようなことを言っていた。大漁だ。
盛岡のセミナーが夕方終わり、いつも行く「横綱寿司」でこの大船渡のマグロの話をしたら「ありますよ」
大船渡のマグロを買ったのだ!
すぐに出て来た赤身は、ぴっかぴかの半透明。
3日間の熟成をされているので丁度良い。
赤身の熟成は3日程度、トロ部分は1週間ぐらいが最高のようだ。
厚切りの刺し身が2切れ。
軟らかく、実に爽やかなおいしさだ。
一緒に中トロが一切れ来たが、やっぱり赤身が良い。
鯵、コハダ、イカ、サヨリ、ボタンエビ、ウニ、牡蠣と、ちょっとずつのあと「さっきの赤身おかわり」
もう2切れを再び。
途中バランス調整で、甘味たっぷりのトマトのスライス2切れ。
最後に「さっきの赤身で鉄火巻き、御飯少なめ」で、仕上げ。
大船渡のマグロ、美味しかったなーーー。

2007年6月26日火曜日

牛肉どまん中



以前、駅弁コンテストで全国2位に輝いた、米沢駅の「牛肉どまん中」
いつも米沢駅で新幹線に乗る時、私と一緒にこの弁当が積み込まれる。
毎回かなりの量を積み込むのだが、多くは山形方面から来る時に社内で予約をとったもののようだ。
今日の積み込みも多い。
この牛肉を入れているのが、私の顧問先「米澤佐藤畜産」だ。
たくさん売れ続けているのを見るの、うれしいねえ。

2007年6月25日月曜日

時の宿「すみれ」




米沢駅から列車で福島方面に行き、険しい山に入るトンネルのちょっと手前、左側に、隠れたような温泉宿がある。車で行けば米沢駅から10分ぐらい。
新幹線で毎月、何年もの間通っているが、今までこの宿があるのは知らなかった。ちらっとしか見えないので、気が付かなかったのだ。
時の宿「すみれ」
ここは黄木さんという、米沢で大正時代から牛肉、レストランなどをやっている家族が30年ほど前に開いたところで、最近リニューアルをした。
ここの「米沢牛黄木」という会社の顧問を始めたので、どんなところかと来てみたのだ。

温泉は透明で、じっくり使っていると汗がどんどん出てくる。
横に露天風呂が併設されているので移動し、風とせせらぎの中で、頭涼しく、身体湯の中でさらにボーッと入る。
出て、汗が収まらないまま浴衣で出たところに、この温泉水を氷で冷やした水が用意されている。ぐーーーっと一気に飲む。
ああ、美味い水だ。

調理長は、牛肉の惣菜開発も一緒にやっているが、料理のセンスは素晴らしい。
米沢牛を少しずつ使った料理が少量多品種色々出て来る。
小さいスティック状にカットした牛刺しと、山芋のポン酢ワサビなんか、感動もんだ。
最終は、佐藤調理長自ら焼いてくれる厚切りステーキの鉄板焼き。

たっぷり食べ、温泉をザバーッとかけて、再び温泉水をぐいと飲み、まっすぐ睡眠へ。

この旅館、全部で10室しかない。
各部屋のタイプは全部違う。
純和風もあれば、北欧風もある。
ウイークデーも含めてほぼ満室状態のまま続いているようだ。
流行っているんだ。
そして、私の嫌いなテレビが部屋に無い、ロビーにも無い、どこにも無い。
これは静かで良い。
それなのに、ロビーに行けば無線LANがちゃんと配備されている。
隠れ家に持って来いだ。
翌朝起きて、新聞があるかと見たら、あるにはあるが昨日の朝刊だった。
世の中の情報と時から隔絶。
まさに「時の宿」
帰りの車に送りに来てくれた女将に
「今度は、秋か雪かにきます」

2007年6月22日金曜日

蕎麦のクローズドマーケット



米沢の高畠地区は、裏道からさらに小道を入ったところに、自宅を改造して隠れたようにやっている蕎麦屋が何軒もある。
どこもいわゆる田舎蕎麦で、蕎麦粉100%の素朴な味。
今回行ったのは「清壽庵」
周りどの方角も田畑で、風通し最高
今日は暑いので良いが、これが吹雪だったら吹きっさらしすごいだろうな。
広い座敷の仏壇の前で、ざるそばをさらっと、濃いつゆで。

店そのものが奥入ったところにあるので、目立たず、知る人ぞ知るクローズドマーケットだ。
この店はさらにも一つ、営業時間もクローズだ。
「なくなり次第御仕舞」

2007年6月20日水曜日

夏のアンコウ




米沢でいつもの「志乃」に行ったら、酒田でとれたアンコウが出て来た。
アンコウといったら鍋で、冬の暖か料理だが、それが東北の夏に。
大きなお椀にたっぷりと入っている。
まずはあん肝。
箸で持ったらプリンと弾力がある。鮮度良い証拠。
口に入れ、舌でつぶしたら、なめらかな脂が染み渡った。
フォアグラの優しさ版だ。
骨と皮のところを取り出して噛み付いた。
ぷるぷる!
たっぷり食べて外にでたら、まだわずかに明るく、藍色の空に三日月がきれいに光っていた。

東北で 初夏のアンコウ 藍の空

2007年6月14日木曜日

パエリアのお焦げ



昨年スペインに行き、先日素敵なスペイン料理店を月島に見付けて、最近スペインづいている。
夕方プールから帰り「のど乾いた、ハラ減った」と台所を覗いたら、パエリア料理の真っ最中。
色々つまみでグズグズやっていたら「ああーーー!」
少し焦げてしまったようだ。
なるほど、パエリアというのは、薄い鍋で煮込むわけだから、加熱終了のタイミングが少し遅れると焦げ出すわけだ。
餃子を焼くみたく、最終の仕上げが難しい。
しかし、御飯のお焦げはおいしい、大好物。
そこで、パエリアのお焦げはどうかと、わざわざお焦げ部分を取り出して食べたら、これが香ばしくておいしい。
パエリアの風味にお焦げがパリッとアクセントをつけている。

焼き過ぎた お焦げのパエリア 新風味

2007年6月13日水曜日

フランスの家庭料理



たっぷりのフレンチフライポテトの上に、赤身そのままといったサーロインステーキがドタッと乗っている。
よく言われるフランスの家庭料理の代表がこれだ。
一般にフランスの料理というと、日本の高いフランス料理店のソースに工夫したものだと考える人が多いようだが、実は違う。
なんのかざりっけも無いシンプルなステーキ。
脂肪など、ほとんど無いグラスフェッドビーフだ。
端のスジの部分なんか、カリッとして、最高。
これならいくらでも食べられてしまう。
ポテトにイワシが乗ったのもある。純朴美味。
この店、いつ来てもいっぱい、おいしいにぎわいに満ちている。
「ボブイユ」渋谷区恵比寿南2-7-4 03-3791-8845

2007年6月8日金曜日

先斗町のカレーライス




「河しげ先斗町店」の京料理と芋焼酎でやったあとの仕上げをどうするか。
1人だといつも悩むが、今日は同行者が1人いるので、和と洋になった。
和は、煮湯麺(にゅうめん)。
花板の潔さんの作る出汁は濃い。
朱のお椀に、適切な硬さに茹でられたそうめんがさらりと入れられている。
ごく薄く刻んだ京葱が一山乗っている。
一味が一振り。
出汁とそうめんの間に、落ち着いた電球の光が、やさしく満ちている。
お椀の縁が、金色に輝いている。

さっき食べた鯛の皮が、サラマンダーで薄く焼かれた「鯛の皮せんべい」を出してくれた。これは私だけへのサービス。

洋のカレーライスがきた。
「何で京料理に、カレーライスが出てくるんだ!」
ずいぶん前、この店に初めて来た時、遠慮しながら密やかに料理を楽しんでたら、目の前のオープンキッチンを、カレーライスのような皿が横切った。
「な、なんだあれは!」
カレーライスに見えたけど……
まさか京料理でカレーライスなんかあるわけないよなー……
恐る恐る聞いたら、胸を張って「カレーライスです」
どうしてここにあるのか?

ここのカレーは、野菜カレーで、いったん煮込んでから、裏ごしをして、更に煮込む。だから、具は無くなってしまう。
なめらかな舌触りなのに、味濃いカレーなのだ。

2007年6月7日木曜日

焼酎あご割りロック


「芋焼酎は『黒霧島』がありますよ」
「それなら、ロックで」
京都先斗町の「河しげ先斗町店」のロックはちょっと違う。
いつも元気な京っ子の真以さんが、冷蔵庫から大きな角氷を取り出し、氷の表側に包丁の「あご」を軽く当て、パカッと、ロックグラスに丁度入る大きさの氷を割り出した。
氷には表と裏があり、裏から当てても氷は傷がつくだけで割れない。表からちょっと当てると簡単に割れる。

良い氷屋さんの角氷は、透き通っていて、濁りが無い。
これは、ゆっくりと凍らせるからだ。
秩父の山奥などにある名物天然氷は、秋から冬にかけて、ゆっくりと何週間もかけて凍って行く。
氷は、ゆっくりと凍ってくと、水の中にある不純物が外側に押し出され、純粋無垢に出来る。
反対にただ型に入れた水を急速凍結すると、中心部分に空気やゴミなどの不純物が閉じこめられてしまう。
家庭の冷蔵庫で透明な氷が出来ないのはその為だ。
透明な氷が1個入った黒霧島のロックが、黒艶のお盆の上に浮かんでいる。
ぐいとやると芋焼酎がじんとしみ込んできた。

2007年6月5日火曜日

祇園のイタリアン



祇園をぶらぶら、和風洋風色々な店が並ぶ。
京都の店や家は、間口が狭いが、中に入ると奥行きがある。
鰻の寝床のようになっているのは、昔、間口の大きさによって税金を課したところから来ている。狭い間口なら税金が安い。
真っ白なのれんをくぐったら、突然数百年は経っていそうな古い町屋を改造したイタリア料理店がひっそりと、奥長細くたたずんでいる。
お箸で食べるイタリアン「スコルピオーネ祇園
がっしりした柱で組み上がっている建物の中は、破れた皮を使って古いイメージを出した椅子や照明など、長い時間を思わせるデザインが工夫されている。
白身魚のカルパッチョは、さっぱりしたイタリアンドレッシングに、そら豆、絹さや、京菜がたっぷりとまぶされている。
カツオの刺し身は、軽く揚げられたハーブがあしらわれ、巻いて食べると魅力的鮮烈味。
和牛のタタキとタケノコという、京都の皆さんがよく食べる食材が見事に調和している。嵯峨野の竹林が見えるようだ。
キリッとしたワインを1本飲んで、すっかり出来上がってしまった。
ふらふらと巽橋を渡ったら、白川の川面にお茶屋の灯がキラキラと光っていた。


イタリアン 祇園町屋の をどりの灯

2007年6月4日月曜日

鰹節削りの再生




鰹節削りの刃が切れなくなってきた。
送れば研いで、送り返してくれるが、それでは面白くない。
「研ぎに持って行かなければ」と「仕方なく」京都に。
錦市場をぶらぶら歩くと、腹が減ってくる。
それに、どういうわけか、ここは安い。
鱧、京野菜、山椒の実、湯葉……どうしてこんなに安いんだろう……
じゃなくて、東京が高いのか。
業務用刃物の専門店「有次」錦店に入ったら、旅行中の外国人のご夫婦が2組。
一組は、買い終わって「センセイ、アリガトウゴザイマシタ」と、日本語でていねいに挨拶。店長と女性従業員は京風にお辞儀で挨拶。
もう一組は「クリスティン」と言う名前を、買った銅鍋に刻んでもらっていて、それを撮影中。
2組とも帰ったので、ウチの鰹節削り器のカンナを出した。
カンナを一目見た武田店長は「これは……一度研ぎました?」
販売したあと、有次の職人以外が一度研いだんではないかという。
それで思い出した。数年前にこれを買ってから、3年ほどしてからだろうか、切れなくなってきたなーと言っているところに「えーーー、研屋でござい」と、ピンポンが来たので、研いでもらったことがある。確か500円だった。
これが一目で分かったのだ。
台もわずかに変化していたようだ。
こういったのは、作った職人さんに研いでもらわないと、うまくいかないのだ。
説明したら「分かりました、刃研ぎと、台の調整をしましょう」
台の調整というのは、わずかに削るのかなー?
究極まで整理整頓され、隙の無い研ぎ場の前、
「任せてください、元通りにします」と、たくましい笑顔で引き受けてくれた。
ニッポンの、京都の職人。うれしいねー。