2007年3月30日金曜日

静かな東福寺




京都駅の八条口からタクシーで900円程度のところにある東福寺は、ちょっと立ち寄れる落ち着いた大きな寺なので、時々行く。
昨年、紅葉最高潮の時、紅葉は素晴らしかったが、人も凄かった。
今回は桜シーズン直前。

庭園上の空中廊下に入ったら、端から端までだーれも居ない。
静かで長大な廊下だ。
若い女性がこつこつと。私の後ろから近づき、横を過ぎて進んで行った。
はるか向こうの廊下の端から、お坊さんがいそいそと入ってきた。
女性はのんびりふらふらと進んで行き、だいぶ先の方でお坊さんとすれ違った。
女性の姿が小さくなっていく。
お坊さんは、女性が眺めていた広大な庭園にちょっと目を走らせ、ぐんぐんこちらに近づいてきた。
女性が見えなくなり、お坊さんが私の前に来た。
私とお坊さんは互いにこんにちはとお辞儀をし、すれ違った。
私の前の廊下は、再び誰もいなくなった。

ホーーーホケキョ!

澄んだウグイスの声が山に響いた。
静かな東福寺。

2007年3月29日木曜日

井の頭公園の花見


上は、今朝の井の頭公園。
下は、3年前の大混雑花見状態。

大混乱の中の花見が落ち着く人もいますが、静かに味わいたい方は、ジブリの森公園の方に行くと、400メートルトラックがあり、ここは静かですよ。穴場です。

グラスフェッドビーフの脂肪



賑わっているカフェレストランに飛び込んだ。
メニューを見たら、ビーフステーキがある。
ウイーンに来てからビーフはまだ食べていない。
ヨーロッパはグラスフェッドビーフ(牧草飼育)だ。
グラスフェッドビーフは、価格は安い。しかし霜降りではない。穀物飼育していないからだ。草だけ食べて自然に育っているので、肉は硬い。しかしこれを熟成させると、さっぱりと、自然の風味の美味しいステーキになる。
熟成していないグラスフェッドビーフは、ゴムみたいに硬く、最悪だ。
熟成しているグラスフェッドビーフは、ある程度軟らかくなる。しっかり噛んで食べるとおいしさがにじみ出てくる。
出て来たステーキは、正にこれ。
がっしりした脂肪が付いている。
これを赤身とバランスよくカットして、もぐもぐ。
うーーーん、これはいい。
脂肪のところだけちょっと食べてみようかな。
これもいい。
脂肪だけもっと焼いてくれないかな。そうすると残った赤身とうまくバランスとれるのにな。
いつも日本で脂肪を除けているのに、ここに来たらこの始末だ。
ウイーンに居る間、体重何キロになってしまっているだろうか。
どこにも量りが無いから気にならないでいいけど……

帰りのオーストリア航空、体重調整のため、ほとんど食べなかった。
ウイーンからの直行だと、北京を通り、ソウル、名古屋、そして富士山を左に見ながら成田に入って行くんだ。
三鷹に帰ったら、ウオーキングして、プール行って、スチームサウナとジャグジバス何往復もしなければ。

2007年3月28日水曜日

オペラハウスのオープンサンド




今日のオペラは「椿姫」
チケットは85ユーロ。日本での価格と比べたらずいぶん安い。
席はパリッと決めた紳士と着飾ったご婦人達で満席。
オペラは、ファッションも一緒に楽しめる。
楽しみは休憩時間。
30分ほどの間に、軽食やワインを楽しむのだが、この間、数ヶ所にあるこの豪華なオペラハウスを、舞うようにして、いや、ウロウロしながら、この時とばかりにご婦人方のドレスを鑑賞する。
コンサートのために、ドレスをそろえ、楽しむわけだ。
宮殿のようなロビーで、シャンパンを優雅にやっている。
軽食はオープンサンドが主だ。といっても、スモークサーモン、キャビア、生ハムなど、素材な高級。
ウイーンは小さな街なので、やあやあしばらく、といった出会いがあちこちであるようだ。

時間が来て、賑わっていたロビーがさっと引き、皆さん再び客席に。
後半のアリアはどれも朗々と巨大なホールに響く。
椿姫の死で重々しく終わるこのオペラでは、最後の幕で涙を流す人も多い。
さっと幕が落ちたあと、余韻を味わう静寂が一瞬あり、そして弾けるような拍手がオペラハウスを震わせ出した。
何度も何度も繰り返すカーテンコール。
素晴らしかったー!
オーケストラが引いても、客は帰らず、カーテンコールは続く。
皆スタンディングオベーションだ。
外に出たら10時過ぎ。
オペラで火照った顔に、冬の風が気持ちいい。
さあ、美味しそうなカフェレストラン物色しようか。

2007年3月27日火曜日

本場ウインナソーセージ





ウイーンに来たら、本場のウインナソーセージ、絶対食べなければ。
あちこち歩き疲れて、老舗のカフェに入った。
時間は午後2時、腹減ったー。
ビール飲んで、ワイン飲んで、昼寝して、コンサートに備えようか。
何食べようかメニュー見てたら、隣の老夫婦のテーブルに、長ーいソーセージが2本入った皿が2皿運ばれてきた。あれだ!!
ビールに、ソーセージに、チーズ入りのサラダに、ポテトを頼んだ。
ビールは、オーストリア航空で飲んでおいしかったブランドの生ビールだ。
このブランドの配送車はあちこち走っている。多分オーストリアのトップブランドなんだろう。
生はまた格別な味だ。歩いて心地よい疲れもあるんだろう、最高。
ソーセージが来た。
香り良く、辛さそれほどでもないマスタードだ。
刻んだホースラディッシュもたっぷり。
ナイフで大きめに切って、ガブリ。
豊かなソーセージが口いっぱいに広がった。
なんにも、全く癖がなく、素直な味だ。
こういう素朴なソーセージって、日本で出会ったことない。
長いの2本、どんどん無くなって行く。
ビールおかわり!
ポテトが来た。
親指ほどのミニポテトが、ふっくらとスチームされて、ほかほかと湯気を上げている。
このポテトは、このあいだ行ったスーパー「ユリウス」の野菜売り場で見かけて、食べたいなーと思っていたヤツだ。
ポクポクと、これもナチュラルな味。
次、ワイン!

時間は午後3時。
これからホテル帰って、昼寝して、7時からのコンサートに備えよう。

2007年3月26日月曜日

エビ充実のデリ



デリカテッセンの視察もかねているので、デリストア色々見る。
ウイーンのイタリアンデリに入った。
何だかわからないが、エビがずいぶんある。
ウイーンの人はエビが好きなんだろうか。
きれいなディスプレイ。
後ろにグリドルやオーブンなどの調理機械が並んでいる。
エビの入ったトマト味のスパゲティがある。
焼きうどんに見えて、思わず指さしてしまった。
サンドイッチも注文。
すぐにパックするのかと思ったら、スパゲティはトレイに入れたが、蓋はしない。
お姐さん、巨大なエビを出してきて、縦2つに開いて、グリドルで焼き始めた。
エビのサイズは「8アンダー」だ。頭無しで長さ20センチはある。
あのエビ、どうするのかな? 別の客の注文だろうな? でもおいしそうだな? あのでかい肉を大口開けてガブリと噛ったらおいしいだろうな。
私の注文したパックはまだ開けたまま。もしかして……
巨大エビが焼けたようだ。
デリのお姐さん、焼けたエビを、私のトレイに入れた! やったー!!
ホテルに持って帰って、がつがつ食べた。
「巨大エビ付き焼きうどんトマト味」おいしかったーーー。

2007年3月23日金曜日

世界一美しい図書館




中世の巨大な教会を舞台にした小説「薔薇の名前」
ショーンコネリー主演の映画にもなった。
この中に、壮大な図書館が出てくる。司祭、修道士達が、大きな色刷りの立派な本を読み、研究している場面だ。
やはり映画「ハンニバル」で、レクター博士が、イタリアの古い図書館の司書になって隠れ、そこの本を分析したある結論をセミナーで発表する場面がある。これも膨大な古書が背景にある。
どちらも、中世の図書館が舞台だ。
これが、全くそのまま、いや、もっともっと巨大な本物の図書館として、ウイーンの王宮の中にある。
「世界一美しい図書館」と呼ばれている。
最初、どういうものかわからないで、名前が面白そうだから、とにかく行ってみた。古い本が見れるのか、図書館そのものが美しいのか、全く知らないで。

巨大なドアを入ったら、500年、すっ飛んだ。

普通のビルなら、4〜5階分の高さのところに、2層になって、古書がびっしり。
巨大な空間が、本で囲まれている。
天井はドームになり、立派なフラスコ画。
天井近くの窓から、やわらかい冬の光が射し込んでいる。
古書は革張りで、大きなのは高さ1メートルにもなるだろうか。
高いところの本をとるために、各本棚には木製の移動式階段が付いている。

ここには中世の文書、記録がびっしりと詰まっている。
いったいどんな本があるのだろうか。
司書は、どのようにこれらを読んでいるのだろうか。
いや、そんなことは出来ていないんじゃないかな?
そんな甘ったるい量ではないんだから。

ある棚のところに行ったら、大きなドアが半分開けてある。
中を見たら、その向こうにも本棚。そこにもびっしりと本。
本棚の1ブロックが扉になっている。その向こうに本が隠してあるのだ。
ミステリーの世界がそのまま。魔女、魔王の館がそのまま。

2007年3月22日木曜日

グーラッシュ


コンサートが終わったのが夜10時。ウイーンのカフェやレストランはこの後一瞬いそがしくなる。
美味しい店を探すコツは「お告げ」という感性によるのもいいが、混んでいる店に飛び込むのは確実。
横道に入ったところに、小さく混雑している店を見つけ、迷わず入ったら、私が座ったところで満席。後から入ってきた二人組は、一人用のテーブルにイスを持ってきて無理やり座った。

グーラッシュがあった。
蒸し煮込み、とでも言ったらいいだろうか。壺煮、なんて言い方も分りやすいかもしれない。
牛のブリスケット(胸の辺りの肉)、ポテト、香味野菜などを、香辛料で煮た料理だ。
よく煮込まれていて、軟らかく、とろっとしている。

グーラッシュ的な煮込みを米国のセミナーで時々作った。
スーパーで安いブリスケットのブロックを買って来て、5センチぐらいにカットし、深めのホットプレートに入れる。
日本でホットプレートというと、焼き肉に使う薄いのだが、米国では深さ5センチぐらいのがあって煮込みに使える。
ホットプレートに肉を入れて焼き目をつけたら、香味野菜も含めた野菜を適当に放り込み、トマトジュースをドボドボと入れて、蓋をし、数時間放っておくと出来上がり。
味を見て、醤油でちょっと調整をする。
この煮込みのコツは、煮立たせないで長時間煮る。
蓋をして、蒸し煮。
これを「ブレージング」と呼んでいる。
煮立たせないので、肉や野菜の形が崩れないで仕上がる。

ウイーンのグーラッシュは、スパイスの刺激と香りたっぷりだった。

2007年3月20日火曜日

楽友協会ホールの動くシャンデリア



ウイーンフィルの新春コンサートで有名なこのホールの右側2階バルコニー第2扉の後ろ3列目に座った。
8基あるこのシャンデリアの最前右側のシャンデリアが目の前だ。
真下にはイタリアの「サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団」指揮アントニオ・パッパーノ。

ラフマニノフのピアノ協奏曲2番は、ダーン、ダーンと、徐々に高まる和音から始まる。
次第に大きくなる和音は、バルコニーの床下から天井まで突き上げて最大になった。
弦楽器群が引き継いだ響が、静かに、雄大に広がり始めた。
高校の時にこの朗々たる曲に出会ってから、百回以上は十分に真剣に聞いているが、こんな豊かで豪華な響きになるとは知らなかった。
ピアノから弦に引き継いだとき、ゾーッとした。
この楽団は資力があるのだろう、高額な弦楽器が相当揃っている音がする。

響き渡るラフマニノフの中で、ふと目の前が何か変だなと思ったら、シャンデリアが小さく首を振るように動いている。
演奏が始まる前は気が付かなかった、動いてはいなかったと思うがわからない。
空調のせいかなと思ったが、後ろの方のシャンデリアは動いていない。
ラフマニノフの音が動かしているのだろうか。
気のせいか、音が大きくなるほど首振りが大きくなるようだ。

感動的に第3楽章が終わった。
爆発する拍手。
嵐が終わり、休憩に入った。
シャンデリアの動きが止まった。
音響で動いていたのだろうか?

翌日は、同じ楽団で、マーラーの交響曲1番「巨人」
席は1階ホールの6列目中央。最高の席。
左右いっぱいにオーケストラが広がる。
この曲は名前の通り巨大な曲で、オーケストラも大編成。
管楽器などはよくもこれだけそろえたと思うほど。
打楽器は銅鑼まである。
この巨大編成が第4楽章で暴れまくる。
ホール全体が震えている、揺れている。
最大音が轟々と続いている時、ふとシャンデリアを見上げたら、昨日よりも大きく首を振っている。
やはり音楽で動いているのかな?
どなたか、本当のところを、知りませんか?

情熱の塊みたいなマーラーが終わったら、団員の顔は赤くなっていた。
汗みずくの人もいる。
指揮者の顔も真っ赤。
観客も拍手で汗。
楽団員は足をドンドン鳴らして指揮者を讃えている。
今晩は、団員も観客も、冷たいビールが美味いだろうな。

このオーケストラだが、同じ指揮者で今夏来日し、「運命」と「巨人」をやる。楽しみだ。

2007年3月19日月曜日

スーパーマーケット「ユリウス」




ウイーンのシュテファン大寺院と王宮の間ぐらいに位置する高級スーパー「ユリウス」は、食品や小売店に興味のある人はぜひ立ち寄るべきだ。
単に高級品が並んでいるのではなく、価格は手ごろでおいしいものもたっぷりと置かれている。よく見て価格を考えながら買ったら、値ごろで買うことが出来る。
顧客を観察するのも楽しみだ。
オーストリアンファッションに身を包んだ紳士淑女、アーミッシュそのままのようなコートを着たおじさん、歩くベンツみたいな毛皮を着たご婦人も。それぞれ真剣かつ楽しそうに食材を選んでいる。
オリジナルブランドも色々ある。菓子、コーヒー、酒類……

こういった店を見るには、小さな買い物カゴを持って、ちょっとでいいから買うと、店の特徴が実によく分る。自分の財布から買うんだから真剣になる。観光客用の土産物店でガラクタを高額で買うよりも、よっぽど安く素敵なお土産が手に入る。

追伸:FOODEXで「ユリウス」が出展していた。日本の一部の店舗でここのコーヒーなどをすでに販売しているという。更に拡大すべく活動中のようだ。

2007年3月16日金曜日

宮殿のカフェとトイレ




ラファエロ、フリューゲル、フェルメール……
フリューゲルを模写している人がいた。
細部の細部に到るまで、どこまでも詳細に描かれているフリューゲルの絵を模写するなんて、大変なことだ。
見事に90%程度まで仕上がっている。
何日通ったのだろうか。
出来上がった絵はどうするのだろうか。

ウイーンの美術史博物館の素晴らしい絵画を鑑賞したあと、中央にあるカフェに行った。
10メートル以上はあるドームの中央を囲むようにして客席が並ぶ。
壁、柱、はるか上にある円天井、中央の円形に切り抜かれたホールの下も、大理石。
大理石のツヤと重量感を活かした控えめの照明が歴史ある建物を効果的に見せている。
豪華な宮殿のカフェだ。

ゆっくり紅茶を飲んだあと、まっすぐ帰らないで、ここに来たら必ずトイレに行かなければならない。
中二階の階段を横に折れると、宮殿のトイレが大理石の廊下に静かにたたずんでいる。

2007年3月14日水曜日

野辺地の大雪




もう帰国して、まじめに仕事してます。
しかし、ウイーンでは色々あったので、紀行はまだまだ続きます。
ここでちょっと、大雪事件。
米沢に着いたら、今年始めての大雪。ニュースでは、日本海側、青森、北海道は更に大雪。そして「野辺地は61センチの積雪」だという。
その野辺地に行くので、大丈夫かな。

八戸から特急白鳥で、三沢を過ぎ、野辺地へのトンネルを抜けたらいきなり大雪。吹雪いている。
車内のアナウンスで車掌が「昨日は大雪で電車が止まり、ご迷惑を……」と言っていたので、大変だったのだろう。一応着いて良かった。
仕事が終わり、刺し身と蟹鍋。
会食終わり、ホテルへと思ったら、ホテルではなく温泉。
ホテルでいいのにと思ったら、野辺地にはホテルはないそうだ。それなら温泉楽しもう。
露天風呂は、体暖かく、頭は雪でひんやり、気持ちいい。

2007年3月13日火曜日

朝食に骨付きハム


パリで泊まったことがあるホテル「SOFTEL」は、朝食が美味しかった。
今度のウイーンでも同じなので、朝食が楽しみだった。
レストランに入ったら、早速見つけた、骨付きハム。小型の骨付きハムで、子豚のだ。

普通のハムは、肉に注射針で塩、香辛料、調味料の液をインジェクションといって、注入して寝かす。この時肉の形が崩れたりして、肉の風味に多少の影響が出て来る。ところが骨付きハムは、モモ1本をそのまま、骨が付いたまま加工するので、骨によって肉の形がそのまま保たれる。いわゆる水膨れも出来ないし、させないで作る。

半分削られ、骨が見え出しているモモから数枚を切り出した。
サラダ野菜のボウルから適当に入れた。
テーブルに持ってきて、1切れ口に入れたら、柔らかく、自然のハムのおいしさが広がった。
なんにも付けないで、そのままがいい。
野菜をちょっと。
大きく太いキュウリが5ミリぐらいの厚さに輪切りになっている。つまんで半分噛ると、爽快、みずみずしい。
ピーマンも肉厚。サラダというよりも、刺し身だ。
カブを口に入れたら、バリッと割れ、口の中に飛び散った。
SOFTELの朝食、お勧めです。

2007年3月12日月曜日

ケバブバーガー



ケバブ(カバブ)というと、串刺しにした肉をバーベキューにしたものが日本人のイメージだが、大きな塊にした羊の肉をローストしたものがユーラシア圏ではポピュラーのようだ。
マトンの肉が多いようだが、鶏肉も使う。豚肉は宗教の理由で無い。
ゆっくりと回転しながらローストされている塊は2種類ある。
「マトン? チキン?」と聞いたので、この羊肉の方の塊はマトンだと分った。

マトンは2年以上の羊。ラムは1年未満。
では、その間の、1年から2年までの間はどうなっているか。
これは「ホゲット」と呼んでいる。
マトンは臭いがあるというのが一般的な概念だ。しかし、鮮度がよければそんなことはない。
ラムは臭くないというが、鮮度が悪ければ臭みが出たマトンと同じ臭いになってしまう。
羊肉は鮮度なのだ。新鮮なほど香り良くおいしい。
ホゲットはオーストラリアでは良く食べる。価格がラムよりも安いのにおいしいからだ。
日本のジンギスカンは元々マトンを使っていた。それも、食糧難時代に、安いマトンを輸入してきたのを、臭いを消すために、タレをニンニクや醤油などで工夫して、おいしく食べる方法を確立した。北海道、滝川の松尾のジンギスカンの歴史だ。だから、最初の頃のジンギスカンの原料はマトンだった。
しばらくして日本の食事情が豊かになってきたら、次第に柔らかいラム肉をジンギスカンに使うようになってきた。
今では8割以上がラムになっている。
しかし、いまだに日本には、ホゲットはないようだ。ホゲットはおいしいのに。しかし鮮度管理は難しいだろうな。

この塊のケバブ方式は、肉を塩などのナチュラル系の結着剤を使って大きな串刺しの塊にする。
これをモーターでゆっくり回しながら、熱線ヒーターで回しながらあぶり焼きにする。
塊はかなりの太さなので、表面から少しずつ焼けて行く。
焼きながら、ヒーターとの距離を調整するのだろう、適度にジューシーに焼けたところを、日本刀のようなナイフで削ぎ切る。
ナッシュマルクト市場ではこれを大型のピタパンに入れてバーガーにする。
ピタパンとは、ポケットの穴を空けたパンで、この中に具を入れる。
日本で出会うピタパンは小さいが、ここのピタパンは大きい。子供の頭ぐらいある。その中に、厚く削ぎ切ったロースト肉と野菜をどかどかと入れて出来上がり。
ずしんと重いケバブバーガーをガブリと噛ったら、水分たっぷりのまま香ばしく焼けた羊肉と、アルプスの水たっぷり吸い込んだ野菜が、ピタパンの香りと一緒に口の中に広がり、鼻に抜けた。
羊肉は、東欧というか、アラブといおうか、豊かに刺激的なスパイスを使っている。
この市場のあちこちで売っている多種類のスパイスやハーブはこういうことになっているのだ。

2007年3月9日金曜日

水道からエビアン(みたいな)




ウイーンの水道はそのままゴクゴク飲める。
どんな味がするかというと、まるでエビアン。
これは、アルプスからの水をそのままだからだそうだ。

ウイーンの野菜はどれを食べてもみずみずしくて美味しい。
大きななキュウリの厚切りをバリッと噛ると、水分が口の中にはじけ飛ぶ。
アルプスの凄烈な水をたっぷり吸い込んだ野菜なんだから、美味しいはずだ。

ナッシュマルクトという市場が市内にある。生鮮食材とファーストフードの半分露店もある通りで、大変なにぎわい。築地とやっちゃ場と肉屋が通りになって何百メートルも連なっているみたいなものだ。
ここを歩いていると、この美味しそうな野菜が軒を連ねて売られている。
車を横付けにして、畑から持ってきた野菜をそのまま並べている店もある。
スパイス専門店も目立つ。
多種多様のスパイスが小袋に入れられて、じゅうたんのように陳列されている。小さなカゴを持って、何袋も買っている人が多い。
ウイーンの人は、多分料理もちゃんとするのだろう。
水が美味しい、野菜が美味しい、そして料理。
レストランやカフェに入っても、どこも美味しい。

2007年3月8日木曜日

スマートの宣伝カー




ウイーンの町中で、コンパクトカー「スマート」の宣伝付きがあった。
これは車体にスポンサーのペイントをした車をリースし、使用者に町中を走ってもらうことで宣伝をしている。
使用者は宣伝料分安く車を使うことが出来る。
車は停めたままだと宣伝にならないので「月に300キロ以上走ること」といった条件になっている。ガソリン代は自前だ。
スマートは長距離を走るような車ではないので、街のレストランなどでも宣伝効果があるようで、広がっているという。
安く車を使え、省エネになる方法として、共同でリースして会員制にしたり、この広告方式などがあるようだ。
スポンサーは、家具販売店、ラジオ局、レストランなど、さまざまだ。

2007年3月7日水曜日

ウイーン風カツレツ




ウイーンのホテルに夕方早目に付いたので、すぐに楽友協会ホールのチケット売り場へ。このホールは毎年元旦にウイーンフィルの新春コンサートが行なわれるところで世界的に有名。明日のラフマニノフ・ピアノ協奏曲2番と、明後日のベートーベン・ピアノ協奏曲5番「皇帝」のチケットを確保。これで日本で予約しておいたオペラ「椿姫」と合わせて、3晩、全ての席を確保した。

席を確保して安心したので、次は夕飯。
シュテファン大寺院の裏に、ウイーン風カツレツ(ヴィーナー・シュニッツェル)の老舗があるというので、繁華街を寄り道しながらウロウロ。ステファンに付いたら、何やら臭い、馬糞の臭いだ、観光客向けの馬車の溜まり場だった。
教会の裏に入り、キョロキョロ探していたら、細い路地のずーっと奥に何やら人集りがしているところがある、もしかしてと入って行ったら大当たり。
レストラン「フィギュルミューラー」
外で待っていた数人の客の後に続いて入ったら、店内はもういっぱい。それでも10分ほど待ったら無事座れた。
この店はなぜかわからないがビールが無い。シャルドネワインを注文。
周りで食べている皆さんのカツレツを見たら、巨大なので、全部食べられそうにない。しかし1枚のカツレツを2人でわけるのも、どうもこの店ではみっともないようなので、小さいの無いかと見回したら、ちゃんとある。
「ハーフサイズ」とサラダを注文。

カツレツの肉は元々は仔牛を使うのだが、最近は豚肉もかなり使う。このカツレツも豚肉。一切れの肉を薄く大きく伸ばすのは「肉たたき」という道具で行なっていた。肉のスジを潰して柔らかく食べられるようにする。
大量に行なうにはこれは大変で、食肉専門店やかなりの量を使うレストランなどでは、テンダーマチックという機械を使う。パイプにマイナスドライバーじょうになった刃がハリネズミのようについているのが2本、噛みあうように回転していて、その上から肉の切り身を落とすと、スジが一気に切れる。これを縦横2回ずつでもかければ縦横無尽にスジが切れ、平たく伸びる。

来た「ハーフサイズ」もかなり大きい。
レモンをたっぷりかけて、1切れカットする。肉を薄くたたき伸ばしてから揚げたカツレツだ。さっぱり揚げられている、油っこくない。レモンをかけるというのがミソだ、さわやかな味になる。カツレツの巨大スナック、といったところか。
ここのシャルドネは、少し甘口で、アルコール度は10.2%と軽い。これがこのカツレツと実にマッチする。良くまあこういう組み合わせが出て来たものだ。歴史の店、老舗なんだなー。
サラダの野菜は全て味があって美味しい。土が豊かなんだろうな。

2007年3月6日火曜日

サーモンと、カツ丼と、蕎麦





こんな組み合わせは考えられないが、とにかくそうなってしまった。
サーモンのグリルは、サーモンの肉に落ち着いた風味のチーズを乗せ、ポテトを小さくカットしてこれも乗せ、これを更にパンに乗せ、小さなケーキみたいになったのを頬張る。うーん、すごいボリューム。
ワインをつるりと口に含み、ころころ転がして香りを出し、十分味わってから飲み込む。口の中がワインできれいになり、再びサーモンとチーズとポテトの豪華ミニサンドイッチ。
これを繰り返していたら、残念ながら無くなってしまった。
隣のカツ丼が半分残っているので、食べるかどうか聞いたら、もうおなかいっぱい、と予想通り言うので、そうかそうか、ではもったいないから食べてあげようじゃないか。
豚カツがつがつ食べ、ワインもお代わりし、すっかり満足して気が付いたら、蕎麦がまだあった。
蕎麦に、ワサビをたっぷり乗せ、細切りした海苔を振りかけ、汁をぶっ掛け、ズズッとすすり込んだら、ワサビの塊が入ってきて、辛さにゲホゲホいい、これではおっさんじゃないかと反省しつつも、この蕎麦実に美味い。
ウイーンのお菓子は有名で、この機内食のお菓子も見事なものだ。普通は甘いの食べないのだが、このかわいいケーキを見たらちょっと試してみたくなり、一口食べたらこれも美味しい。全部食べてしまった。
もういい加減にお終い、のつもりだったら、食後に赤ワインはどうかと持ってきた。意志に逆らい、いや、正直に一杯もらった。
これはメルロー系のようで、さわやかな中にコクもあり、これも良い。
ああ、美味しかった。オーストリア航空、お勧めです。

2007年3月5日月曜日

オーストリア航空の機内食




機内食を積み込んだオーストリア航空のウイーン直行便は、成田発午前11時40分。ゲートを出た時時計を見たら、1分のくるいも無かった。さすがドイツ語圏、がっちりしている。
上空で落ち着いてから早速飲み物のサービスで、もちろんまずビール。来たら黄色いパッケージで、オーストリア製。さて、初めて飲むオーストリアンビールの味はというと、美味い、素晴らしい。
シュニッツエルを噛りながら、ビールはすぐに無くなってしまった。おかわりをすぐ、と思うが、満席のエコノミークラスではなかなかそうはいかず、同行者の頼んだ白ワインを「ちょっと味見させて」
これも美味しい。辛口の濃いめのワインで、しゅるしゅると入ってしまう。
「さかな? とんかつ?」
魚はサーモンをチーズでグリルし、豪快にカットしたポテトも一緒に焼いてある。
カツ丼は丼が皿になっただけで、そのまま本物の豚カツ。
一つずつ頼み、両方味わおう。
アペタイトとして、スモークサーモンとスモークチキンが春雨の上に乗っている。スモークサーモンはでかく、2切れも入っているではないか。
1切れ丸ごと食べちゃうんじゃもったいないので、箸で3切れに分け、まず最初はそのまま食べる。濃厚な味でスモークも最高。今まで食べた中でも最高レベルだ。これがエコノミークラスの食事とは、オーストリア航空、ファンになろう。
次の一切れは、小さくちぎったパンに乗せてみた。
パンは密度しっかりの重量パン。サーモンと良くあう。オーストリア白ワインにぴったりだ。