2007年3月20日火曜日

楽友協会ホールの動くシャンデリア



ウイーンフィルの新春コンサートで有名なこのホールの右側2階バルコニー第2扉の後ろ3列目に座った。
8基あるこのシャンデリアの最前右側のシャンデリアが目の前だ。
真下にはイタリアの「サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団」指揮アントニオ・パッパーノ。

ラフマニノフのピアノ協奏曲2番は、ダーン、ダーンと、徐々に高まる和音から始まる。
次第に大きくなる和音は、バルコニーの床下から天井まで突き上げて最大になった。
弦楽器群が引き継いだ響が、静かに、雄大に広がり始めた。
高校の時にこの朗々たる曲に出会ってから、百回以上は十分に真剣に聞いているが、こんな豊かで豪華な響きになるとは知らなかった。
ピアノから弦に引き継いだとき、ゾーッとした。
この楽団は資力があるのだろう、高額な弦楽器が相当揃っている音がする。

響き渡るラフマニノフの中で、ふと目の前が何か変だなと思ったら、シャンデリアが小さく首を振るように動いている。
演奏が始まる前は気が付かなかった、動いてはいなかったと思うがわからない。
空調のせいかなと思ったが、後ろの方のシャンデリアは動いていない。
ラフマニノフの音が動かしているのだろうか。
気のせいか、音が大きくなるほど首振りが大きくなるようだ。

感動的に第3楽章が終わった。
爆発する拍手。
嵐が終わり、休憩に入った。
シャンデリアの動きが止まった。
音響で動いていたのだろうか?

翌日は、同じ楽団で、マーラーの交響曲1番「巨人」
席は1階ホールの6列目中央。最高の席。
左右いっぱいにオーケストラが広がる。
この曲は名前の通り巨大な曲で、オーケストラも大編成。
管楽器などはよくもこれだけそろえたと思うほど。
打楽器は銅鑼まである。
この巨大編成が第4楽章で暴れまくる。
ホール全体が震えている、揺れている。
最大音が轟々と続いている時、ふとシャンデリアを見上げたら、昨日よりも大きく首を振っている。
やはり音楽で動いているのかな?
どなたか、本当のところを、知りませんか?

情熱の塊みたいなマーラーが終わったら、団員の顔は赤くなっていた。
汗みずくの人もいる。
指揮者の顔も真っ赤。
観客も拍手で汗。
楽団員は足をドンドン鳴らして指揮者を讃えている。
今晩は、団員も観客も、冷たいビールが美味いだろうな。

このオーケストラだが、同じ指揮者で今夏来日し、「運命」と「巨人」をやる。楽しみだ。

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