2007年3月12日月曜日

ケバブバーガー



ケバブ(カバブ)というと、串刺しにした肉をバーベキューにしたものが日本人のイメージだが、大きな塊にした羊の肉をローストしたものがユーラシア圏ではポピュラーのようだ。
マトンの肉が多いようだが、鶏肉も使う。豚肉は宗教の理由で無い。
ゆっくりと回転しながらローストされている塊は2種類ある。
「マトン? チキン?」と聞いたので、この羊肉の方の塊はマトンだと分った。

マトンは2年以上の羊。ラムは1年未満。
では、その間の、1年から2年までの間はどうなっているか。
これは「ホゲット」と呼んでいる。
マトンは臭いがあるというのが一般的な概念だ。しかし、鮮度がよければそんなことはない。
ラムは臭くないというが、鮮度が悪ければ臭みが出たマトンと同じ臭いになってしまう。
羊肉は鮮度なのだ。新鮮なほど香り良くおいしい。
ホゲットはオーストラリアでは良く食べる。価格がラムよりも安いのにおいしいからだ。
日本のジンギスカンは元々マトンを使っていた。それも、食糧難時代に、安いマトンを輸入してきたのを、臭いを消すために、タレをニンニクや醤油などで工夫して、おいしく食べる方法を確立した。北海道、滝川の松尾のジンギスカンの歴史だ。だから、最初の頃のジンギスカンの原料はマトンだった。
しばらくして日本の食事情が豊かになってきたら、次第に柔らかいラム肉をジンギスカンに使うようになってきた。
今では8割以上がラムになっている。
しかし、いまだに日本には、ホゲットはないようだ。ホゲットはおいしいのに。しかし鮮度管理は難しいだろうな。

この塊のケバブ方式は、肉を塩などのナチュラル系の結着剤を使って大きな串刺しの塊にする。
これをモーターでゆっくり回しながら、熱線ヒーターで回しながらあぶり焼きにする。
塊はかなりの太さなので、表面から少しずつ焼けて行く。
焼きながら、ヒーターとの距離を調整するのだろう、適度にジューシーに焼けたところを、日本刀のようなナイフで削ぎ切る。
ナッシュマルクト市場ではこれを大型のピタパンに入れてバーガーにする。
ピタパンとは、ポケットの穴を空けたパンで、この中に具を入れる。
日本で出会うピタパンは小さいが、ここのピタパンは大きい。子供の頭ぐらいある。その中に、厚く削ぎ切ったロースト肉と野菜をどかどかと入れて出来上がり。
ずしんと重いケバブバーガーをガブリと噛ったら、水分たっぷりのまま香ばしく焼けた羊肉と、アルプスの水たっぷり吸い込んだ野菜が、ピタパンの香りと一緒に口の中に広がり、鼻に抜けた。
羊肉は、東欧というか、アラブといおうか、豊かに刺激的なスパイスを使っている。
この市場のあちこちで売っている多種類のスパイスやハーブはこういうことになっているのだ。

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