2008年6月19日木曜日

一升瓶のキャップ


カウンターの目の前で、女将が一升瓶から徳利に酒を入れている。
その注ぎ口を見たとたん、子供の頃を思い出した。

硬めのビニールか柔らかめのプラスチックの材質で、栓を抜いた一升瓶の口にかぶせ、中身を漏らさないように徳利に注げる。
口先が独特の形状になっていて、こぼれないのだ。
子供の頃、これがどこにでもあり、酒だけでなく、醤油等の瓶にも使っていた。
女将に聞いたら「最近これ売ってなくてねー、貴重品だよ」

親父がやっていたラーメン屋で、醤油を一升瓶から客席テーブルの醤油入れに移すのにこれを使っていた。
ラーメン屋の前には、焼き鳥屋(豚の内蔵の串刺しの居酒屋)をやっていて、酒瓶に使っていた。客からお酒の注文が来ると、これを使って徳利に移していた記憶がある。
この頃の私のおやつは、シロ(豚の小腸の串焼き)、小さな三角形の袋におみくじと一緒に入っているピーナッツ)だった。

中学一年の頃、ラーメン屋で親父もおふくろも居ない午後、言われて店番していたら40歳位のおじさんが入って来て「焼きそば」と言った。
親父もお袋もしばらく帰ってこない。
「出来ません」と、どうしてか言えなかった。
仕方なく、見ていた記憶を頼りに適当に作って出した。
おじさん無言で食べている。
そういえば、味見もせずに出してしまっていた。
食える状態になっていたのだろうか?

おじさん食べ終わった。
立ち上がり、うつむいている私の方に来た。
文句を言われるのかな〜?
おじさんは言った、
「おいしかった、いくら?」
いいおじさんだったなー。

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