2008年5月20日火曜日

見つけた京都の小料理屋




いつも行っていた先斗町の店が無くなってしまい、小さな、隠れるようにちょっと行ける、小料理がおいしい京都の店を探していたのだが、ひとつ見つけた。
高瀬川沿いにあるこの店は、とある人の紹介で「一見様お断り」

一見様お断り、というのは、トンチンカンな客が入り込むと常連客が迷惑するので、それを防止する手段。別に威張っているわけではない。

夕方早めに入ったら客は未だ居ず、温厚な大将はおばんざい(京都の総菜)造りに忙しい。
どう注文したら良いかわからないので、ビールを飲みながら忙しく立ち働く大将と京大生のアルバイトを見ていたら、ちっちゃな器に山菜いろいろ使ったおばんざい4種が「取り合えず」と出て来た。
すこしずついろいろは、うれしい。
「外はさわやかだから」と、カウンター前の窓を開け放してくれたら、高瀬川のせせらぎと一緒に、初夏の風がふわり。

優しい目をした、私より少し歳下らしき紳士が一人入って来た。
「先生、いらっしゃい」
何の先生かな?
一昨日、出張先の東京で地震にあったと言うこの先生と話が合い、京都に住む建築家だと分かった。

次に入って来たのは、50歳ぐらいに見えるご婦人が一人。
私と建築家の間に座った。
コップに赤ワインを一杯、それにシャンパングラスとペリエを大将が出した。いつもの飲み物なのだろう。
どうやって飲むのかと思ったら、ワインをちょっとシャンパングラスに入れ、それをペリエで割った。
赤ワインのペリエ割り。
なるほど、これはおしゃれ。
自然に3人で話し出し、このご婦人は、東京の白金と京都の両方に住んでいるとわかった。

そこに今度は二十歳代のまじめそうなな若い男が入って来て、建築家の隣に。
一人で来た、初めて出会う4人の客が並んで座ったわけだ。
3人、ワアワアやっている所にこの若い男が引きずられ、話に入って来た。
この人は、世界中、特殊な国を放浪したあげく、奈良の神社の神主になった。

話は芸術になり、ヨーロッパになり、コンサートホールの音響効果になり、地震の話から耐震建築技術になり、五重塔(真ん中の柱が吊られた構造で耐震)になり、鐘つき堂(鐘を吊るすことで耐震、鐘が無いと倒れる)になり、神社仏閣になり、神主とは何だになり、江戸っ子とは何だ京都っ子とは何だになり、酔いの中で飛び回り、焼酎がどんどんお代わりされているところに、ご主人がおばんざい一切れずつを皿に乗せて出してくれた。

一見さんお断り、いいねえ。

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