2008年10月16日木曜日

10秒待ちのお椀



お任せ料理コースの終盤、お椀が出てきた。
汁椀ではなく、広め低めの黒色。
この店でお椀が出てくると注意が必要だ。以前、いきなり開けようとしたら止められた。蓋の絵が、そのまま裏側とお椀の内側につながっていたのだ。蓋を眺め、ゆっくり開けながら、中の絵まで楽しめるようになっていた。

案の定「十秒待ってください」
ゆっくり数えていたら「はい、もういいですよ、開けてください」
開けた蓋に吸い出されるように松茸の香りが舞い上がってきた。
鼻をお椀に近づけ、胸一杯に吸い込んだ。

ご飯の中に松茸が入っているので、ご飯の熱で香りが出、それがお椀の中で充満するまでの時間が十秒だったのだ。
ご飯の上にはカラスミが一枚トッピングされていて、色がきれいだ。
松茸を取り出し、ご飯の上に載せ替えて、ちょっと眺めて満足し、さあ、食べようか。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

いつも巧みの料理のご紹介有難うございます。
とろこで、10月に入り,日本酒が恋しくなる季節になりましたが、昨年、ズガニの話をされておりました。その中で、話の出ておりました東京でもズガニが食せる料理屋さんがある様子でしたが、このお店はどこにあるのでしょうか。御差し支えなければ教えていただけますか?
私は九州・熊本の田舎ものなのですが、昔、近所の川でズガニ(当時は川がにと読んでました)取に明け暮れ、小学生であの味噌の味を憶えてしまったものです。無性にあの味を思い出して失礼を省みずお願いしています。
是非とも宜しくお願いします。