2012年4月11日水曜日

1204ウィーン9:ミユンヘンフィルのピチカート



楽友協会ホールで、ズービン・メータ指揮のミユンヘンフィルでベートーベンのピアノ協奏曲3番。
ズービン・メータは76歳になるが、元気溌剌、背筋すっきり。
そこにハンマーのような指で強大な演奏をする若きランラン。
この組み合わせはウィーンの聴衆を狂喜させた。

楽友協会ホールは舞台奥行きが無いので、ピアノを横倒しで片づける。
慎重に動かすのを、聴衆じっと見守る。

後半はブラームスの交響曲1番。
誰でも知っているこの曲、何回も何回も聴いたが、今晩のは特別。
私の人生の中で、最高の演奏だった。
この曲、響き渡るホルンで有名だが、ピチカートの多い曲でもある。
ピチカートは、多くの弦の一瞬のつま弾きがどれだけ揃っているかだが、揃うのに二通りあることに気が付いた。
音が揃っていること、が一つ。
その上、今回の場合、音の精神そのもの、心が揃っている。
1つの弦が出すピチカートは、1つの精神がある。この精神が、全ての弦で揃っているのだ。

2ヶ所、ピチカートにわずかな、時間にすれば十分の一秒かその半分かのズレがあった。
このズレは、不揃いだったのではなく、同じ旋律の繰り返しだったので、演奏でそうしたのだ。
このズレがあったので、この部分は特別に奥行きが出ている。
響きを思い出してみると、二つのグループに分けてあった。
最初のグループのピチカートのあと、わずかに遅れてもう一つのグループのピチカートがあった。
こんな所まで計算して演奏していたのだ。
譜面にもそうなっているのかな……

ミユンヘンフィルのピチカートで新しい経験をした。
音には精神があるのだ。

0 件のコメント: