2009年2月20日金曜日

江戸の鳥スキ






神田の一角に戦災を免れたところがあり、アンコウ鍋、藪(蕎麦)などの老舗が固まっている。
そのうちの1軒に鶏肉のすき焼き「ぼたん」がある。

ビルの谷間に突然現れる戦前の建物。
タイムスリップしたようだ。
木造の大型家屋の門に「鳥」の電気式あんどん。
玄関を入ると、履き物番のおじさん。

座敷には、ちゃぶ台。
ちょうど良い状態に熾きた炭火コンロ。
銅の台に乗っている。
小さな鉄鍋。

江戸が、そっくりそのまま。

飲み物の注文を聞いただけで、すぐに鳥鍋セットが来た。
内臓、ミンチも含めたセットが二人分、二皿。
出汁を鉄鍋に入れ、早速煮始める。

この鶏は味が濃い。
ミンチは包丁でたたいてあるので、たくましい食感。
出汁の味がしみこんでいく。
よく噛むと味がさらに出て来る。

半年キープしてくれるからと、焼酎一本入れたが、二人で全部飲んでしまった。
「誰がそんなに飲んだんだ!」とお互い毒づきながら、すっかり満足して、食事に入る。

ご飯は木のおひつで来た。
やっぱりここは江戸だ。
鍋に少し残して置いたのは、じっくりと味が浸みついている。
それをレンゲで少し盛ったご飯に放り込み、がつがつとかっ込む。
もう一杯、そしてもう一杯。
もうやめないとダイエット問題になるからと、しかし最後にもう一杯。

腹いっぱい、反っくり返り状態で外に出たら、江戸が優しく光っていた。

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