2009年2月2日月曜日
紙カツ
トンカツは独特のもので、ふわっとまぶした軟らかいパン粉の感覚は、日本だけだ。
ウィーンのシュニッツェルの衣は粉だし、オーストラリアやニュージーランドのフィッシュケイクの衣は、カリカリに堅かったりで、日本人の舌にはあまりしっくり来ない。
反対に日本のトンカツを欧米人に食べさせるとグルメほどおいしいという人が多い。
日本のカレーライスやあんパンも同じで、日本独自の料理が欧米人に受け入れられる。
トンカツの肉の厚さは7ミリから1センチ程度で、トンカツ専門店の高品質のには2センチ以上のがある。
厚い切り身のトンカツを軟らかく揚げるには、低温の油で時間をかけたり、二度揚げにしたりする。
じっくりと揚がった厚くて熱いトンカツをガブッとかじると、さくっと衣が当たったあと、豚肉の脂と肉汁がばしっとはじける。
ところがここのトンカツは「紙カツ」の名の通り、薄い豚肉。
肉のコストダウンととる人もいるかもしれないが、一口食べると、なぜ薄くしたのかがわかる。
これは、衣の食感を主に味わうもので、肉はそれをバックアップするソースのようだ。
さっぱり揚げた薄い一切れは、ふわりと口になじみ、おいしさを豚肉が後押しする。
この紙カツも「秩父錦」の名物。
薩摩揚げといい、ここの名物は素早く食べなければならないのが多いな。
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