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ギリシャのアンティキテラで発見された歯車らしき破片を解析したら、紀元前82年に作られたアストロラーべ(天体観測儀)だった。
これは一般的に「古代ギリシャのコンピュータ」と呼ばれている。
これを書いた科学ノンフィクション「アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ」を読んでからすぐにパリに来たのだが、工芸博物館に行ったら、1700年代製のアストロラーべがいくつも展示してあった。
重なり合う何十枚もの歯車、光る金属、球体の組み合わせ、細かい目盛り、実に美しい。
地球と月、5つの恒星の相対的動きを正確に表し、未来にも過去にも行け、航海に必須の方角と潮の動きを予測できるこの機械は芸術品でもある。
日時計、計算機、飛行機、自動車、産業革命時代の工作機械など、昔の機械の展示をすっかり楽しみ、帰る途中「ちょっとカフェ」がいけなかった。
昼遅くビールを飲んだら、夕方のミニコンサートが危ういから頼まないようにしようと気を引き締めて入ったが、ちょっとだけと小さなのを一口飲んだら、おいしくておいしくて。
腹も減っていたので、なんだかかんだかのソーセージというのを頼んだら、巨大なのが来た。
ナイフでカットしたら、内部はなんとグラインドした肉ではなく、大きく刻んだ肉がゴソゴソと出て来た。
うわ〜〜〜!! なんだこれぅわぁ〜!!
中に入っていたのは胃や腸などの内臓肉だった。
マスタードソースがたっぷり付いているのは、いわゆる内臓臭を消すためだ。
内臓臭というのは、嫌いな人はゲッとなるが、好きな人には魔味、妖味、艶味とメカニックな魅力になる。
これは大変だと気を引き締めて食べだしたら、ビールが無くなっている。
どうして無くなったのかわからないが、すぐにおかわりのジョッキが来たのもわからない。それも大きなジョッキだ! うれしい〜〜〜!
この妖味を半分ほど食べたらマスタードソースが無くなってしまったので「ソースだけくれる?」といったらウエイターは「そうだろうそうだろう」という顔で持って来た。
更に食べていったら、不思議なことにシャルドネのグラスが目の前に出現した。
ああ、食った! 飲んだ!
アパートに帰り、ちょっと昼寝してコンサートに何とか行けるかなと、とりあえず歯を磨き、顔を洗い、冷たい水を飲み、ベッドに倒れる寸前、思わず口走った「コンサートやめ!」
起きたら8時半、夕食11時、就寝1時。
ベートーベンとショパンが消えてしまった宵だったが、トリッパのソーセージ版と出会えた。
しかし正式にはなんという名前なのかな?
大体あれは正式な料理なのかな?
どなたか知りませんか?
あんな特殊な料理がそこら辺のカフェで出て来るところがパリなのかな。