2009年7月31日金曜日

一足先の鱧(はも)と松茸






新山口発、たった二両編成の特急「スーパーおき」は小雨の中を定時に出発し、豪雨が続いた山中を走り出した。
津和野を過ぎ、曇天の日本海に出て、海岸線沿いを東に向かう。
いつも松江で食べているおいしい魚がこの海で獲れていると思うと、ありがたい感謝の気持ちで眺める。

列車は5分遅れで松江駅到着、セミナーに穴を開けないで済んだ。
セミナーが終わり、いつもの「ホテル一畑」に早めに入り、まっすぐ展望温泉へ。
この風呂から宍道湖が一望。
露天風呂で風に吹かれながらさっぱりした後、いつもの「いと賀」へ。

八寸の横に小鍋が置いてあるので、夏なのに何が出て来るのかと思っていたら、鱧と松茸が生で出て来た。
水菜と湯葉も一緒に盛り付けられている。
「吸い物代わりにどうぞ」
これは贅沢な小鍋だ。
鱧は最盛期だが、松茸はまだなので、中国産の松茸を持って来たという。
9月に入ると1ヶ月ほどだけ食べられる鱧と松茸の土瓶蒸しを、小鍋で二月早く楽しもうという趣向だ。素晴らしい。

まず、小鍋に水菜と湯葉を入れ、シャキッと状態で水菜を引き上げ、さくさくと食べる。
京都の食感だな。
湯葉を残したまま、鱧と松茸を全部入れる。
鱧が白くなったところで引き上げ、取り皿に移し、スープをレンゲでちょっと加え、一緒に口に流し込む。
鱧の香りと薄味の出汁で、ジューシーこの上ない。
芋焼酎の原酒を氷で冷やし、グビリ。
熱い小鍋と、冷たい焼酎ロックの組み合わせが最高で、唇がぴくぴく震える。
魅力的なシビレだなあ。
これだけおいしくなると、話なんかしたくなく、ただ無言でスープと焼酎を交互に楽しむ。
スープがこれだけ酒のつまみになるなんて、日本食ぐらいなんじゃないかな。
小鍋のスープ、底まで吸い飲む。
きれいな鍋が残った。

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