2009年2月9日月曜日

しし(猪)


ドイツやフランスで、12月から翌2月頃までの冬の間、鹿、鴨、キジ、猪といった、野生の鳥獣を狩猟して、料理にする。ジビエだ。
猪は、日本の山奥、伊豆、京都の山中など、最近は少なくなったが、でも結構食べられる。
猪は豚の祖先だ。
猪の体型を見ると。肩が大きくてたくましく、重量挙げの選手状態だ。
この体型は、肩の部分がたくましく強い。
だから、肉は柔らかくは無い、しかし、味、滋養はたっぷりで、スープもおいしい。焼いて食べると堅いけど、よくかみしめて味わうと、力強い食糧を舌で味わえる。

京都で、猪が出て来た。
脂がたっぷり。
この脂は半分透き通っている。
バラスライスの断面、半分が、脂だ。
ガチッとかじると、脂肪は軟らかくなく、スジっぽい。
このスジっぽさ、野生の荒々しさむき出しでうれしい。
日本のジビエだ。

この野生の脂肪が、京都のお出汁と一緒になると、乱暴な信長が茶室に入ったようにおとなしくなる。
この猪は昨年の11月、最も脂がのっているときに狩猟したものだそうだ。
魚と一緒だな。脂がのった鯖、サンマ、鰯、カツオ……

2009年2月6日金曜日

鯉の鱗(うろこ)


鯉のさっぱりした照り焼きが来た。
その横にきらきらと、光り輝く薄片のようなのが盛り付けられている。
なんだこれは?!

これは、鯉の鱗(うろこ)
鱗なんて取るのが面倒くさいだけのものでしかない。
でも、これを食べると、ゼラチンいっぱいの軟骨みたいな魅力的なことがわかった。
調理がいいからだろう、ぱりぱりと、味付けもすばらしい。
鱗も、こう料理すると、変身するわけだ。
それなら、鯛の鱗はどうなっちゃうのかな?
鯛の兜で問題なのは、魚屋によって、鱗が丁寧に取り除いていあるか、そうでないかだ。
安い鯛兜は鱗いっぱいで、料理してもおいしくない上に、鱗がじゃまでしょうがない。これは買う方がいけない。
結構いい値段がついている鯛兜は、天然で肉が素直で、鱗がきれいに取ってあるのが多い。

こんな料理がどんどん出て来るこのすばらしい店は、予約がほとんど取れないので、紹介できない。
紹介しても、予約ほとんど出来ないから、紹介しない方がいい。
紹介すると、予約の競争が激しくなるので、紹介しない方がいい。
なら何でここに書いたかというと、鯉の鱗の話。

2009年2月5日木曜日

赤カブとつくし



赤カブは色がいいので正月料理に使うことが多いようだ。
つくし(土筆)は、春を告げる。

京都の料理屋で、小さな器、というよりも小さいぐい飲みが出て来た。
中をのぞくと、赤い大根おろしのようなのが敷かれていて、その上から小さな淺緑色のがちょこっと顔を出している。

赤いのは、赤カブ。顔を出しているのは何かと目を近づけて見たら、なんとまあ小さなつくしだろうか。
それに黒豆。
これが出て来たのは1月終わりだから、まだ正月料理は締め切り前。

赤カブはグラインドすると、水分が少ないので、水っぽくなく、さっくりとしている。こんな風に食べたのは初めてだ。
つくしは、京都は大原で、ご主人が「ほんのちょこっと顔を出したのを見つけて抜いてきた」そうだ。よくもまあ見つけられるものだ。

一緒に出て来たお椀は、底にほんのちょっと料理が入っているだけ。
おこわを敷き、その上にスッポンスープの煮こごり、そしてカラスミが2切れトッピングされている。
繊細だなー。

2009年2月4日水曜日

鯖しゃぶ




この時季、博多には鯖がたっぷり揚がる。
九州の北で鯖はゴマサバで食べることが多い。
しかし「おきよ食堂」のメニューに「鯖しゃぶ」がある。
これは初めての食べ方で早速挑戦。

鍋に、昆布が贅沢に入っている。
湯が沸いてきたら、もう昆布出汁がしっかり出ている。
そこにどーんとおおざっぱに市場らしく盛られた鯖の一切れをさっと入れる。
表面が白くなったところで引き上げる。
口に入れたら、鯖の甘みがいっぱい。

「うわ〜〜〜!」総勢8名の宴会参加者は、ハイエナのごとく飛びついた。
切り身を取られないように、箸でつかみながらしゃぶしゃぶ。
あっという間になくなった。

スープが残った。
このスープには鯖の旨味とかなり濃くなった昆布の出しが絡まり合って、とろり。
昆布をかじったら、おいしさしっかり残ってる。
鯖にスープに昆布、三つも楽しめる。

2009年2月3日火曜日

鯨のステーキ


捕鯨について「ウェッジ」の2009年2月号で、慶應義塾大学の谷口智彦氏が「コストのあわない遠洋調査捕鯨をやめ、これを交渉のカードにして、沿岸小型捕鯨が出来るようにして採算に乗せ、食文化を守ればいい」と主張している。
なるほど、いいアイデアだと思う。

私が子供の頃、近くの魚屋「ととや」では、15センチ角ぐらいの鯨赤身のブロックが売られていた。
これをスライスして、焼いて食べると、もう天国。
この世にこんなおいしいのがあるのかとなった。
大学に入って学生運動でキャンパスが閉鎖され、アルバイトと旅で過ごしていた頃、新宿西口の横町で「鯨カツ定食」が安かった。

博多、魚卸売市場会館の「おきよ食堂」に入ったら、鯨のステーキがある。
これは見逃せない。
出て来たステーキをかじったら、じんわりと鯨の赤身のジュースと脂が充満し、一瞬で子供の頃、学生時代に時間が戻った。

追記:タイミングがいいことに、この日の夕刊と翌朝刊に、沿岸小型捕鯨へのことが新聞発表になっていた。
谷口智彦氏の主張の通りだ。

2009年2月2日月曜日

紙カツ



トンカツは独特のもので、ふわっとまぶした軟らかいパン粉の感覚は、日本だけだ。
ウィーンのシュニッツェルの衣は粉だし、オーストラリアやニュージーランドのフィッシュケイクの衣は、カリカリに堅かったりで、日本人の舌にはあまりしっくり来ない。
反対に日本のトンカツを欧米人に食べさせるとグルメほどおいしいという人が多い。
日本のカレーライスやあんパンも同じで、日本独自の料理が欧米人に受け入れられる。

トンカツの肉の厚さは7ミリから1センチ程度で、トンカツ専門店の高品質のには2センチ以上のがある。
厚い切り身のトンカツを軟らかく揚げるには、低温の油で時間をかけたり、二度揚げにしたりする。
じっくりと揚がった厚くて熱いトンカツをガブッとかじると、さくっと衣が当たったあと、豚肉の脂と肉汁がばしっとはじける。

ところがここのトンカツは「紙カツ」の名の通り、薄い豚肉。
肉のコストダウンととる人もいるかもしれないが、一口食べると、なぜ薄くしたのかがわかる。
これは、衣の食感を主に味わうもので、肉はそれをバックアップするソースのようだ。
さっぱり揚げた薄い一切れは、ふわりと口になじみ、おいしさを豚肉が後押しする。

この紙カツも「秩父錦」の名物。
薩摩揚げといい、ここの名物は素早く食べなければならないのが多いな。

2009年2月1日日曜日

風船薩摩揚げ



銀座二丁目の裏を歩いていると忽然と現れる居酒屋の時代屋みたいな「秩父錦」
早く行かないといっぱいになる店なので、開店時間の5時集合。
着いたら早くも二人到着済み。
「あと一人増えます、合計5名」と言ったら、「え〜〜〜」
隅の4人テーブルに移動して無理矢理椅子を一つくっつけた。
これで確保して安心したところに5名のグループが来て「予約してないんですけど……」
また「え〜〜〜」
こちらは奥の座敷に何とか入れられて、これで今日は満席。
よく流行っている店だ。

この店の名物「薩摩揚げ」は、早く注文しないと無くなるので、まずは刺身盛り合わせと一緒に注文。同時に「今日のお勧め」が看板に5品ばかりあるので「それ全部」

黒ビールをあっという間に6本程なくし、一人が「秩父錦濁り酒」を注文。
これは枡にコップを入れ、あふれさせて注いでくれる。
昔はコップ酒というとこうしてくれた。
どれだけあふれさせてくれるかが店の心意気だったが、中にはえらく厚いグラスで、大きく見えて重いが、入る酒の量は少ないコップを使っていて、それでたっぷりあふれさせるという、サービスだか上げ底だかわからないのも結構あった。
秩父錦のは普通の薄いグラスのコップで正真正銘誠実一筋。

そこに薩摩揚げ到着し「おぉ〜〜〜」と歓声。
大きなピンポン球のようにパンパンに膨らんでいる。
すぐに食べなくちゃと言いながら「ちょっと待て!」と撮影。
生姜醤油を付けて、パクリとやると「プスッ」っと破裂し、揚げの熱風が頬を膨らませた。