2012年6月13日水曜日

1000日の生ハム







ぐるめくにひろさんのところに、約3年、1000日の生ハムが1本だけあるというので、みんなで私の家に集まって食べようという話になった。

ベランダのテーブルを居間に持ち込み、即席のカット台に。
こういったものは、開けてみないとどのような出来になっているのか分からない。
くにひろさんがていねいに表面のカビと脂肪をトリミングし、そうッと最初のスライスを切り出した。
まずは私が試食。

生ハムは普通濃い赤銅色をしているが、これはピンクだ。
香りは、くどくなくさっぱりとしている。

さてと、口に入れて、咬み始めた途端、分からなくなった。
3年も寝かせたんだから、濃いかねっとりか、といったのを想像していたのだが、全く違う……
「さわやか」なんだと、しばらく咬んでわかった。
しかし、3年寝かせて「さわやか」というのは、いったいどういうことかわからない。
くちゃくちゃ咬んでいると、香りがどんどん濃密に変って来た。

この間、多分30秒ほど。結構長い時間だ。
くにひろさんは、黙ったまま咬み続けている私に心配になったのだろう、背中を向け、私の反応をじっと待っていることがわかる。
しかし、しゃべることはまだ出来ない。
今とても大事な時間なんだ……

最大に頭を使いながら咀嚼していくと、飲み込んだつもりは無いのに自然に腹の中に移動してしまい、香りだけが残った。
その香りをもっと味わいたくて、まだしゃべれない。
鼻と口から半々ずつ静かに息を吸い込み、最後の芳香を味わい尽くしてから、やっと発声。
「やった〜〜〜!!! すばらしぃ〜〜〜!!!」
発言ではなく、叫んだ。
今までの生涯で出会った、最高の生ハムだった。

そして、数時間後、全て無くなってしまった。
感動し、うれしく、最後は「はかなく」終わったパーティー。
なぜはかないか?
当たり前でしょう! こんな生ハムにもう会えるかどうか……
くにひろさん、また是非、なんて言うとプレッシャーになるかな?
これからも素晴らしいハム造ってください。

1 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

ありがとうございました。
ハラハラドキドキの開封でしたが、お陰様で素敵な生ハムになり、素敵な生ハム試食パーティになりました。
「また、同じような生ハムをよろしく!」と言われましても、、、、
自然循環が、作ってくれたあの風味に味わいです。
これからも、みなさんに喜んでいただけるような生ハムをつくり続けたい思います。
いつも、ありがとうございます。  くにひろ