2009年8月27日木曜日
09パリ-16:歌声居酒屋
怠惰な毎日にすっかりなじみ、遅く起きたらいい天気。
「シャルトルのブルーは晴天の午後に行け」と聞いていたので、それではこれから。
モンマルトル駅から列車でレースで有名なル・マンに行く途中、70分ほどでシャルトルという古い町があり、大聖堂のステンドグラスが晴天だと素晴らしく、特にブルーの色がすごい。
この色は、青空の色が背景になるのだろうが、赤や他の色も、このブルーを引き立たせるように出来ているようだ。
夕方早めに帰り、先日昼寝で見損なった古い教会のピアノコンサートに行き、さて何を食うかと教会の隣のブロックになる大混乱状態のカフェ街の中から、これにしようかとインサイドに入ったら、朗々とアベマリアが歌われている。
歓楽街の一角、小さな扉を開けたらオペラに出会った。
状況を転じれば、地獄で仏だな。
これはいったいどういう事かと、普段着の20代の女性の歌に聴き惚れ、ボーッとしていたら歌い終わり、割れるような拍手。
そして、彼女は客席に行って座った。
家族と来ていた客だった!
へえ〜〜〜! とびっくりしていたら、今度はピアノの横に、会計係のように座っていたおばあさんがさっと立ち、ソプラノでアリアを歌い出した。
おばあさんが座っていた小さなテーブルには、飲みかけのワイングラス。
その横のピアノの横にも同じくワイン。
みんな飲みながらやっている。
いったいどういう店なんだろうか。
とりあえずビールを頼み、豚のステーキを頼んでいる間に、今度は奥のバーにいた30代の赤シャツ男が、おばあさんと掛け合いの二重唱を始めた。
最初のアベマリアは客だと分かったが、このおばあさんと男は、いったん誰だろうと、次から次に出て来るプロ級の歌を聴きながら様子を見ていたら、おばあさんはどうもここの名物オーナーで、赤シャツは従業員。
そんなことしている間、ピアニストが代わり、曲はオペラになり、ビートルズになり、音楽の世界を走り回り、もしかするとおばあさんの息子さんもしれないこの店のご主人、ヨタヨタ歩きで酒を運びながら歌い出した。
ピアノの調律は悪く、扇風機はカバー無く半分壊れ、横の客はキャーキャー騒いでいるが、曲は相変わらずシャンソンになったりミュージカルになったり。
大喧噪狂騒の中、休む間もなく曲は踊り続けている。
パリの下町の大騒ぎ。
拍手で応援し、店のスタッフは乗りまくり、ワインはじゃんじゃん無くなり、声は枯れ、眼が見えなくなり、気が付いたら午前1時だった。
この店、朝の5時までやっている。
こんな所に迷い込んじゃうのもパリなんだな〜〜〜!
明日もまた行こうか……
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